83%の日系企業がマイナス影響、84%が通常営業不可、ジェトロなどが緊急アンケート実施

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月26日

ジェトロとフィリピン日本人商工会議所(JCCIPI)は3月20~24日、新型コロナウイルスによるビジネスへの影響に関する緊急アンケートを共同で実施した。アンケート対象はJCCIPI会員622社・団体、セブ日本人商工会議所会員140社・団体、ミンダナオ日本人商工会議所会員20社・団体の合計782社・団体で、44.9%に当たる351社から回答を得た。詳細はJCCIPIのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

国の人口の半数以上を占めるルソン島全体に外出禁止令が出され、公共交通機関の停止を決定した3月16日付けのドゥテルテ大統領の発表(2020年3月19日記事参照)に続いて、ビサヤ地方やミンダナオ地方の各自治体も移動制限を課すなど、国全体で何らかの移動制限下に置かれている。そのため、日系企業は必要最小限の人員での営業・操業や在宅勤務等を余儀なくされており、企業活動に大きな影響が出ている。

現時点での業績への影響を聞いたところ、全体の58.4%にあたる205社(製造業:65.2%、107社、非製造業:52.4%、98社)が「経常収支5%以上の大きなマイナスの影響がある」、全体の24.8%にあたる87社(製造業:22.0%、36社、非製造業:27.3%、51社)が「多少のマイナスの影響がある」と回答。合わせて83.2%もの企業がマイナス影響を見込んでいる結果となった。プラスの影響があると回答した企業はいなかった。

また、現時点の操業の状況を聞いたところ、通常通り営業・操業している企業は全体の15.7%(55社)にとどまった。84.3%(296社)が通常通りの営業・操業ができていないとし、休業が13.7%(48社)、全員を対象とした在宅勤務(または一部休暇)が32.2%(113社)、必要最低限の人員で操業(その他の人員は在宅勤務または休暇)が122社(34.8%)などとなった。特にルソン島含むルソン地域は、通常どおり営業・操業している企業はわずか1.8%(5社)にとどまり、非製造業は通常どおり営業・操業している企業は1社もいなかった。なお、全体の99社(28.2%)が日本人スタッフの一時帰国措置(全員または一部)をとっているとした。

76%の製造業が物流面で課題ありと回答

製造業に対して、物流コストや時間の増加、港の通関業務停滞、検問の通過が不可など、物流面で直面している課題はあるか聞いたところ、75.5%(123社)があると回答した。具体的には、「貨物トラックが検問所を通過できずに部品納入や完成品出荷が停止している」「トラック運転手が手配できず工場へのコンテナ到着が大幅に遅れている」「輸出用の航空貨物便が不足し、完成品が工場で滞留している」といった声が聞かれた。

なお、JCCIPIは3月20日、ラモン・ロペス貿易産業相など政府高官宛てに、フィリピン政府が一定の制約のもとビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業および輸出型産業の操業を認める旨の発表を行ったことに関して謝意を伝えるとともに、従業員や貨物の移動に関して、当該政府発表と地方自治体(LGU)による実際の取り締まり内容に差異が生じていることを訴える文書を発出している。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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