北朝鮮、幼稚園および学校の新学期開始を延期

(北朝鮮)

ソウル発

2020年03月02日

北朝鮮が新型コロナウイルスの感染防止策として、全国の幼稚園と学校の新学期開始を延期した。

韓国の聯合ニュースによると、北朝鮮の「朝鮮中央放送」は2月27日、「託児所や幼稚園から大学に至るまで、感染症予防のための教育と防疫事業が力強く行われている。感染症の拡散を予防するため、学生らの休暇を延長した」と伝えた。対象地域に言及していないことから、休暇の延長は全国的な措置とみられる。開学予定日も公表していない。

1月28日に国家レベルの非常防疫態勢を宣言し、ウイルスの流入防止に取り組んでいる北朝鮮は、「労働新聞」で韓国で感染が広がっていることを詳しく伝えながらも、自国では感染者がいない(2月21日付)、食堂など公共の場に集まるような行動を厳禁すべきだ(2月25日付)とし、公共交通機関での消毒作業の写真を掲載(2月27日付)している。

北朝鮮当局はメディアを通じて感染者はいないと主張しているが、韓国のネット新聞(デイリーNK)は2月27日、「先月から最近まで疑いの症状を示した死亡者は23人、感染疑いのある人は82人だ」と報じている。北朝鮮当局は、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)、2014年のエボラウイルス、2015年のMERS(中東呼吸器症候群)発生当時も、自国内での発病の有無を公表しなかった。

一方、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会は2月26日(日本時間)、国際援助団体による新型コロナウイルス対策のための支援物資を、制裁の例外として承認した。同委員会はウェブサイトで、国際医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」が申請した支援物資に対し、2月20日付で制裁除外を認めたと発表。対象となる物資は、医療用ゴーグル、綿棒、検査用の医療装置などで、北朝鮮保健省に送られる予定。

新型コロナウイルス関連で、制裁除外が認められたのは2回目。国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)も2月24日、北朝鮮に送る医療装置や診断キットについて、制裁除外が認められたと明らかにした。

〔李丙鎬(イ・ビョンホ)〕

(北朝鮮)

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