2020年カーニバル観光に伴う経済効果の予測

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年03月03日

ブラジル商業・サービス・観光連盟(CNC)の予測(2月3日発表)によると、2020年のカーニバル(謝肉祭)シーズン(2月24~26日)の観光産業がもたらす経済効果は80億レアル(約1,920億円、1レアル=約24円)、創出される臨時雇用は2万5,400ポストだという。これは2014年にブラジルで開催されたワールドカップ・サッカーの影響で、経済効果が93億5,000万レアル、臨時雇用が5万5,600ポストを記録して以来の高い数値となる。

カーニバル期間中は、夏季休暇期間と重なることもあり、個人消費が増える傾向にある。2020年のカーニバルによる経済効果が特に大きい理由として、CNCは「低インフレによる個人消費の改善」を挙げている。同連盟のファビオ・ベンテス調査担当エコノミストは「レアルの対ドル為替レートが前年同期比で10%下落していることが、国内旅行需要を刺激する要因になる」と述べている。

経済効果80億レアルのうち、半分以上を占めるのは外食分野で、48億4,830万レアルとなっている。臨時雇用のポスト数で上位を占めるのは、外食店のウェイターなどが4,946ポスト(19%)、食料の仕込みや補充などを行うポストが2,378ポスト(9%)、料理人が2,240ポスト(9%)、都市バスや長距離バスの運転手が2,004ポスト(8%)となっている。

ジェトゥーリオ・バルガス財団(FGV)エコノミストのマルセル・バラシアーノ氏は、カーニバルの聖地リオ・デ・ジャネイロでは、カーニバルパレード本選だけでなく、サンバ学校が有償・無償で開催するカーニバル・リハーサルも観光需要を喚起し、付随する飲食や交通分野への経済効果も期待されると述べている。サンパウロ州商業連盟(Fecomercio-SP)は、「ブロッコ」と呼ばれる路上で行われるサンバ集団パレードが、サンパウロ市で865団体(前年比37%増)登録されていることを発表している。これらの見物人や参加者は、外食産業にとって貴重な顧客となり、個人消費の拡大が期待できるという。

なお、新型コロナウイルス感染拡大を受け、ブラジルでは現在国内で1人の確認が感染されているのみで、またブラジル政府も出入国制限は行っていないことから、CNCの予測は大きく変わらないことが見込まれている。

(古木勇生)

(ブラジル)

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