政府、雇用と経済のための新しい支援パッケージを発表

(オランダ)

アムステルダム発

2020年03月26日

オランダ財務省、経済・気候政策省、社会・雇用省は3月17日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う新しい企業支援パッケージを発表。内容は下記のとおりで、政府は前例のない一連の経済対策として、国民の雇用と生活を保護し、自営業者、中小企業、大企業への影響を最小限に抑えるとする。規模は100億~200億ユーロが必要との見通しで、措置の延長の可能性などもあるとしている。すでに3月12日に発表されている措置(2020年3月17日記事参照)の追加措置(一部は変更)となる。

(1)事業主に対する人件費支援の一時的スキーム(社会・雇用省)

20%以上の売上減少を見込む企業に対し、従業員の賃金補助を3カ月間行う(賃金の最大90%)。オランダ労働者保険事業団(UWV)へ申請し、申請額の80%が補助される。補助期間中、従業員が経済的理由により解雇されないことが条件。この緊急措置は、先に実施していた労働者の時間削減制度を置き換え、同制度で既に申請し、処理されていない場合、このスキームで処理される。3月1日以降の売上減少を対象として申請が可能。

(2)個人事業主に対する追加支援(社会・雇用省及び各自治体)

独立した請負業者・自営業者の事業継続を支援する一時的スキーム。各自治体が実施し、3カ月間の必要最低限の生活の所得補助を行う。必要最低限のレベルの収入を補助し、返済の必要なし。

(3)納税繰り延べ及び罰則の削減(税・関税当局)

感染拡大の影響を受ける企業の納税繰り延べ申請を容易に。繰り延べの申請を受けた税当局は直ちに税の徴収を停止。この措置は所得税、法人税、給与税、付加価値税(VAT)に適用。また納付遅延に係る罰金の支払い、さらに遅延の証拠の提出も必要ない。滞納の場合に課される延滞税率は、一時的に4%から0%とし、全ての税に適用。

(4)企業の借り入れに対する保証拡大(経済・気候政策省)

銀行ローンや銀行保証に問題を抱える企業は、借り入れに係る保証スキームの活用が可能。政府はこの保証スキームの保証上限額の4億ユーロから15億ユーロへの拡大を提案。これにより経済・気候政策省は、銀行ローンと銀行保証の50%(一企業あたり150万ユーロから5,000万ユーロ)を保証することで中小企業を支援。

(5)小規模事業者へのマイクロクレジット提供機関(Qredits)の利子引き下げ(経済・気候政策省)

小規模事業者やスタートアップなどに資金提供などを行うQreditsは、一時的かつ緊急的な措置として感染拡大の影響を受けた小規模事業者向けに返済期間を6カ月延長し、この期間の利子を2%へ引き下げ。政府はこの措置の実施のためQreditsに最大600万ユーロを割り当てる。

(6)農業・園芸企業に対する一時的保証(農業・自然・食品安全省)

農業・園芸農業に貸与されている運転資金の一時的保証を政府が引き受け。

このほか感染拡大の影響を強く受ける芸術・文化、飲食、旅行産業への支援や、企業に課す地方税(特に観光税)の免除について検討する。

(高橋由篤)

(オランダ)

ビジネス短信 ed9b373ae7b465bb