政府、新型コロナウイルス感染拡大に対し追加の拡大防止策、企業支援策を発表

(オランダ)

アムステルダム発

2020年03月17日

ルッテ首相は3月12日、新型コロナウイルスの感染拡大に対する追加の措置を発表した。3月15日現在、オランダでの感染者数は合計1,135人(20人死亡)で3月11日以降毎日100人以上増加しており、最初に感染者が出た2月27日から2週間程度で感染は急速に拡大している。特に北ブラバント州(3月12日時点273人)、ユトレヒト州(同80人)に感染者が多数出ている。

今回の追加措置では、風邪、せき、喉の痛み、発熱がある場合には、他者との接触(社会的距離)を避け、症状が悪化した場合には医師に連絡するほか、100人以上が参集するイベントなどの中止要請、博物館、劇場、スポーツクラブなどの公共の場の閉鎖が発表された。さらに在宅勤務、時差通勤も可能な限り要請するなど、感染拡大防止に向けこれまでよりも踏み込んだ内容となっている。大学や関連機関にはオンライン講座の活用を要請する一方、小学校から高等学校までは登校の自粛などは要請しない。また、この措置は3月31日までとなる。

3月12日にはまた、経済・気候政策相、財務相、社会・雇用相名で企業支援策なども下院に提出された。主な内容はリーマン・ショック後に制度化された労働者の時間削減制度〔雇用主は社会・雇用省に申請、許可されると労働者保険事業団(UWV)から削減労働時間分の給与を一部補填〕を、条件を満たす場合、新型コロナウイルスにも「通常のビジネスリスク以外」として適用すること、またこれまでに本制度に1,700件の申請が寄せられていることを背景として、今後の利用増加に備え処理能力を高めることなどが盛り込まれた。また、中小企業向け融資に対する政府保証の拡大などは、このほかにも必要な措置を機動的に行う財政政策、企業の資金繰りへの対応としての所得税、法人税などの支払い繰り延べ、さらに所得税、法人税の暫定査定の際に新型コロナウイルスの影響による減額評価の申請を可能とすることなども盛り込まれた。

オランダ産業経営者連盟(VNO-NCW)は政府の措置について良好な第一歩として一定の評価を行っており、これらが迅速に実施され、特に中小企業が実行可能であることが重要と指摘している。また企業に対しては、衛生対策のみならず、事業継続計画、雇用法に関する課題などに対するガイドライン、また新型コロナウイルス感染拡大に対するさらなる追加対策の提案などを同連盟のホームページ(オランダ語)を通じ情報提供している。

(高橋由篤)

(オランダ)

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