新型コロナウイルス感染、中国ではピークアウト、専門家は4月末までの感染抑制に言及

(中国)

中国北アジア課

2020年03月03日

3月1日、中国の新型コロナウイルスの新規感染者数は202人、新たに回復した人は2,837人となった(図1参照)。

1月27日~2月18日に新規感染者数は連日1,000人を超えたが、ここにきて減少傾向にある。他方、新規回復者数は増加傾向にあり、2月18日に、新規感染者数を初めて上回って以降、新規回復者数が新規感染者数を上回る日が続いている。

図1 新型コロナウイルスの新規感染者数・新規回復者数(中国)

これまでの累計でみても、3月2日午前0時時点で累計感染者数は8万26人、うち現在の感染者数は3万2,652人、累計回復者数は4万4,462人となっており、回復した人数が現在の患者数を既に上回っている。中国での新型コロナウイルス感染拡大の勢いがピークアウトしている様子がうかがえる。

足元で新規感染者の9割以上は湖北省内で発生しているが、湖北省でも感染者の増加ペースは鈍化しており、新規感染者数は3月1日に196人となり、500人以下となる日が増えてきた(図2参照)。

図2 新型コロナウイルスの新規感染者数(湖北省、湖北省以外の省・市)

湖北省以外の地域では、感染拡大はさらに落ち着きをみせている。湖北省以外の新規感染者数の合計は、2月3日(890人)をピークに、2月4日から減少傾向が始まり、2月24日以降は26日(24人)を除き、1桁台にとどまった。

こうした状況を踏まえ、広東省や江蘇省など17の省・自治区で「重大突発公共衛生事件レベル」を引き下げるなど、社会活動の平常化に向けた動きが進んでいる(2020年3月2日記事参照)。

2月27日に国家衛生健康委員会ハイレベル専門家チーム長の鐘南山氏は、広州市で行った記者会見で、新型コロナウイルスについては中国国内で「4月末までに、感染はほぼ抑制される」との予測に言及した。「感染の予測モデルにおいては、国家の強力な介入と春節後のUターンラッシュの分散という2つの要因による影響を加味しており、感染のピークは2月中旬から2月下旬になると予測していた。予測どおり、2月15日には感染者数が減り始めた」と説明している(「人民網」2月28日)。

(森詩織)

(中国)

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