新型コロナウイルスによる影響を受け、中国自動車業界が政府に支援求める

(中国)

上海発

2020年03月12日

新型コロナウイルス肺炎(以下、新型肺炎)の中国国内での感染拡大が落ち着きつつある。そんな中、完成車メーカーは再稼働しつつあるが、ディーラーの営業再開率は低い割合にとどまっている(2020年2月28日記事参照)。

乗用車市場信息聯席会(CPCA)の発表によると、2月の乗用車販売台数(季節調整済み)は1日当たり7,099台となり、前年同期の販売台数3万6,361台の5分の1に落ち込んだ(表参照)。

表 2月の乗用車販売台数

自動車関連団体が自動車販売台数の大幅な減少を受けて、政府に支援策を求める動きが出ている。

中国自動車工業協会(CAAM)は2月17日に、2020年7月から実施予定の「国6」(注)の実施を遅らせることや、税などの優遇措置を利用した消費喚起、大幅な減税による企業負担軽減などを求める提言を発表した。

また、中華全国工商業聯合会自動車販売商会は2月28日に、2020年の自動車販売台数は新型コロナウイルスの影響で前年比10%以上の減少になると予測した。その上で政府に、ディーラーなどに対する資金返済期限の延長を含む金融面での支援、新エネ自動車への補助金の打ち切り時期の延期などの自動車販売支援措置、「国6」の実施延期などを提言した。

しかし、こうした要請に関して、中国政府には、当初予定していた貧困脱却などへの支出に加え、新型コロナウイルス関連の対策費、地方政府から中央政府への税収移転の削減などにより、自動車市場を支援するのに十分な財源がもはやないという見方もある(「オートモーティブニュース」3月5日)。

新型コロナウイルスが世界最大の自動車市場に影響を及ぼす中、政府の支援策発表が注目される。

(注)中国が2020年7月1日から全国で実施予定(一部の都市は2019年7月から実施)の新しい排ガス規制基準。

(高橋大輔)

(中国)

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