モスクワ市、新型コロナウイルス感染流行地域の滞在者に14日間の自宅経過観察措置を義務付け

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年03月10日

モスクワ市政府は3月5日、中国や韓国、イタリア、イラン、ドイツ、フランス、スペイン、その他の感染流行地域(注)に滞在した市民に対して、帰国日から14日間の自宅での経過観察措置を義務付ける市長令を発表した(2020年3月5日付モスクワ市長令第12-UM号)。対象となる国・地域には日本は明記されていない。自宅経過観察期間中は通勤・通学は禁止とし、公共の場所への訪問は最小限にとどめるべきとしている。

市長令ではさらに、感染流行地域を訪問した市民に対して、a.帰国日、場所、滞在日をモスクワ市のホットラインに連絡すること、b.最初に症状が出た場合、医療機関を訪問せず、自宅で医療支援を要請すること、c.自宅療養期間中は医師の指示を順守することを義務付けている。

モスクワ市で活動する全雇用者に対しては、a.従業員の体温測定の実施と、発熱のある人の隔離、b.自宅に隔離されている従業員への支援、c.連邦消費者権利保護・福利監督局(ロスポトレブナドゾル)モスクワ支部から通知があった場合、感染者情報の提供と感染者が所在していた場所を消毒することと記載されている。

ロスポトレブナドゾルは3月5日、イタリアからロシアに2月29日に移動したイタリア人から新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。場所は明記されていないが、サンクトペテブルクのメディア「フォンタンカ・ルー」(3月5日)は、同局サンクトペテルブルク支部のエリザベータ・スコルィリナ報道官がサンクトペテルブルクで感染者を確認したと報じ、感染者はイタリア・ミラノから到着した北西医療大学のイタリア人留学生としている。3月8日時点のロシアでの新型コロナウイルス感染者は17人で、先週から一気に拡大している(2020年3月5日記事参照)。

ロシアでも、大規模イベントの延期・中止が話題に上り始めている。連邦政府は2月14~16日に開催予定だったソチ投資フォーラムを延期すると2月3日に発表。主要経済紙「コメルサント」(3月5日)は、6月3~6日のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムについても、フォーラム実行会委員長のアンドレイ・ベロウソフ第1副首相が記者団に対して開催しないことを伝えたと報じている。加えて、クラスノヤルスク経済フォーラム(3月19~21日開催予定)も、主催者が3月6日に無期延期を発表している。

(注)ロシア国営ノーボスチ通信(3月6日)によると、モスクワ市ホットラインに確認した情報として、米国、英国、スイス、ノルウェーを含む合計11カ国が対象になっているもよう。

(齋藤寛)

(ロシア)

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