ニューヨークで商業不動産契約の留意点、コワーキングスペースの活用方法をテーマにウェビナー開催

(米国)

ニューヨーク発

2020年03月26日

ジェトロは3月4日、ニューヨーク市における商業不動産賃貸契約に関する留意点とコワーキングスペースの活用をテーマに、ウェビナー(オンラインセミナー)を開催した。米国進出に当たっては商業不動産の賃貸契約が必要だが、米国特有の条項などもあり留意が必要なこと、また昨今、進出の足掛かりとしてコワーキングスペースの利用に関心が集まっていることから、実施したもの。講師として、ニューヨーク州弁護士として多くの日系企業を支援しているバロン・ストール・ベイダー・アンド・ナドラー(Ballon Stoll Bader&Nadler)法律事務所の茂木紀子弁護士と、ニューヨークを拠点にコワーキングスペース活用支援を行っているソフトバンクテレコムアメリカの吉田彬徳氏が講演した。

茂木弁護士は講演の中で、商業不動産を賃貸する際には、なるべく早い段階で専門家チーム(不動産仲介業者、実務経験のある弁護士、建設業者・エンジニア、工事業者、保険業者など)を結成することを強く推奨すると述べた。物件の使途に関する規制やライセンス、各種費用負担などについて、それぞれの専門家を通じた情報収集を怠ると、契約した物件で目的の事業が一切できないといった事態も起こり得るためだ。また米国においては、原則として契約書に書かれたことだけが当事者間の権利義務を律するため、契約書の交渉や作成には弁護士との密な連携が重要となることも紹介した。なお、契約書の交渉には、3~6週間程度を見込む必要がある。ニューヨークでのリース契約は最低5年程度と長期間が一般的な一方、コワーキングスペースを利用する場合は短期の契約が可能だが、互いに異なる契約形態なため、将来のビジネスプランを見据えて、契約内容を吟味してほしい、と参加者に呼び掛けた。

吉田氏は、コワーキングスペースのメリットについて、人員の拡大や縮小に合わせて柔軟に契約変更できること、メンバーシップ費用にオフィス設備の使用料やメンテナンス費も含まれているケースが多く、費用構成がシンプルなこと、他社とのネットワーキングの機会が豊富なこと、の3点を挙げた。また例として、シェアオフィス運営大手ウィワーク(WeWork)が提供するサービスについても触れ、コワーキングスペースの住所を企業登記に使えるプランや、入居するオフィスのほかに世界123都市にあるシェアオフィスを利用できるプラン、小売業向けマーケティングスペース、スタートアップ向けアクセラレーションプログラムなどを紹介した。

各講師の講演資料は、添付資料1〔「米国・ニューヨークでの商業不動産賃貸における法務上の留意点」(茂木紀子弁護士作成)〕、添付資料2〔「コワーキングスペースの活⽤について」(吉田彬徳氏作成)〕を参照。講演録画を視聴したい場合の連絡先はrept3@jetro.go.jp外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ジェトロ・ニューヨーク事務所担当者)。

(菊池蕗子)

(米国)

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