新型コロナウイルス対策ウェビナー開催、在米日系企業の対応状況や労務管理に関するアドバイスを情報提供

(米国)

ロサンゼルス発

2020年03月18日

ジェトロ・ロサンゼルス事務所は3月13日、米国パソナの協力を得て、「新型コロナウイルス対策ウェビナー」を実施した。多くの日系企業が、出張、面談、イベント参加、執務体制などに制約や条件を設けて対応している状況を紹介すると共に、従業員の労務管理に関する情報や法的アドバイスを提供した。

ジェトロ米国6事務所が3月9日から11日にかけて日系企業115社にヒアリングした内容によると、8割を超える企業で、海外出張(日本から米国および米国から日本その他の地域)は禁止するか、または必要性・緊急性の考慮などの条件を付けている。米国内出張に関しては、約6割の企業で、禁止するかまたは飛行機利用を不可とするなどの条件を設けている。

また、来訪者との面談では、約5割の企業が、中止・延期または、電話やテレビ会議などの代替手段を用いるなどの制限を設けている。取引先への訪問では、約3割の企業が、訪問を断られたり、14日以内の渡航歴を求められたりするなど何らかの制約を受けている。外部イベント・会合への参加では、約6割の企業が、参加人数や地域の感染状況に応じて参加を限定している。

さらに、約3分の2の企業が、米国疾病予防管理センター(CDC)などの連邦政府機関の公表情報などを参考に、従業員向けにガイドラインを作成した。社内集会については、約3割の企業で、不要不急のものは見送るなど制限を設けている。在宅勤務については、以前からも含めて約3分の1が導入していることが分かった。ただし、対象者は「全従業員」や「営業職に限る」など企業によって様々であった。企業が実施する予防措置としては、ハンドサニタイザーなどの設置、手洗い・うがいの推奨、マスクの備蓄・支給などが多かった。

ビジネスへの影響については、中国、アジアおよび欧州からの調達の遅れのほか、海上貨物および航空貨物の遅延、輸送量減少、調達コストの増大などが挙げられた。また、急激な為替変動や米国の利下げの影響、人の移動の制限による経済の停滞や展示会中止の影響、クライアントとの関係についても懸念する声が聞かれた。

その他の課題として、従業員がウイルスに感染した場合の対応や、自宅待機や在宅勤務を指示する場合の業務管理や給与支払いの問題などが挙げられた。これらに関連して、後半のパートでは、Squire Patton Boggs(スクワイヤ・パットン・ボグス)法律事務所の須山大樹弁護士およびパソナの徳丸佳代講師が、職場で起こりうる課題について事例を挙げて解説した。講師からは、社内で感染が疑われる社員が出た場合、CDCのガイダンスに従い速やかに他の社員から隔離することや、従業員が出社しない場合は自宅待機なのか在宅勤務なのかを明確にすること、企業として(1)社員・家族の安全、(2)事業継続、(3)地域への拡散予防の観点からバランスある決断が重要であることなどが説明された。

詳しくは、以下のリンクからウェビナーの視聴が可能だ(ウェビナー資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)および録画版の視聴外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

なお、世界各国・地域の状況については特集「新型コロナウイルス感染拡大の影響」を参照。

(北條隆)

(米国)

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