日本企業とドイツのスタートアップの技術連携模索、ジェトロがミュンヘンでイベント

(ドイツ)

欧州ロシアCIS課

2020年03月16日

ジェトロは3月2~4日、ドイツ南部のミュンヘンで「ドイツ(ミュンヘン)・オープンイノベーションミッション」を実施した。海外のスタートアップとの協業を目指す日本企業6社(在欧日系企業を含む)が参加した。

ミュンヘンを中心とするバイエルン州はBMW、アウディ、シーメンスが本社を置くなど、自動車や機械・情報通信機器などの製造業が集積、インダストリー4.0の旗手となる主要企業が多く立地している。こうした背景から、IBMやマイクロソフトなども、モノのインターネット(IoT)の研究開発機関を設けており、モノづくりとIT双方の企業集積がある。また、ミュンヘン大学やミュンヘン工科大学は工学分野で国内最高峰の研究・教育機関であり、製造分野での新たな技術、ビジネスアイデアや人材を多く輩出している。こうしたことから、サービス業を主体とするベルリンと異なり、製造業のデジタル化など、ものづくりに資する新たなイノベーションの源泉として注目されており、日本の製造業との連携も期待される。

ミッション期間中には、ミュンヘンを中心とするドイツのビジネス環境やアクセラレーター(注1)、コーポレートベンチャーキャピタル(注2)が各社の取り組みを紹介するセミナーを実施したほか、スタートアップ支援機関やスタートアップを訪問・視察した。また、ゼネラル・エレクトリック(GE)やテスラとも技術開発で連携を進めるミュンヘン工科大学の起業支援機関を訪問。製造業で活用できる技術を持つ同大学発スタートアップ企業が日本企業に対してピッチ(注3)を行い、日本企業との連携を呼び掛けた。また、より効率的に連携に関するマッチングを行うため、日本企業がスタートアップの前で自社の紹介や求める技術を説明するリバース(逆方向の)ピッチも行われた。日本企業との連携に対するドイツ側の関心は高く、日本企業6社に対してドイツのスタートアップなどから約70人が参加するなど盛況だった。ネットワーキングや個別商談もプログラムに組み込まれており、「リバースピッチの後に個別に商談ができたのでより効率的に商談ができ、具体的な話まですることができた」「日本市場に導入を検討できる技術が幾つか発見できたのが収穫だった」との声が参加者から聞かれた。

写真 リバースピッチの様子(ジェトロ撮影)

リバースピッチの様子(ジェトロ撮影)

写真 ミュンヘン工科大学の起業支援機関UnternehmerTUMの取り組みを説明するヘルムート・ショーネンベルガー最高経営責任者(CEO)(ジェトロ撮影)

ミュンヘン工科大学の起業支援機関UnternehmerTUMの取り組みを説明するヘルムート・ショーネンベルガー最高経営責任者(CEO)(ジェトロ撮影)

(注1)企業活動の成長促進をするための資金提供や専門コンサルティングなどの支援を行う機関。

(注2)一般事業会社が自社の事業へ相乗効果を期待して投資をすること、およびそのための組織。

(注3)短時間でのプレゼンテーション。

(福井崇泰)

(ドイツ)

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