トカエフ大統領、100億ドル規模の経済支援策を発表

(カザフスタン)

タシケント発

2020年03月30日

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は3月23日、国家非常事態委員会を開催し、新型コロナウイルス感染拡大防止の強化と経済総合支援策を発表した(「フォーブス」誌カザフスタン版3月23日)。

カザフスタンは非常事態体制下にあり、都市封鎖を実施しているが(2020年3月18日記事参照)、感染者数が日増しに増えている(注)。トカエフ大統領は感染の封じ込めを強化するため、非常事態体制の規律に違反した者の処罰を厳格化し、公共施設の衛生を徹底させることを指示。ヌルスルタン、アルマトイ、シムケントといった大都市のほか、各州の主要都市で街路の消毒作業を厳命した。

さらに、ユーラシア経済連合(EEU)加盟国を含む海外からの入国者は国籍にかかわらず、全員に隔離措置を適用するよう命じた。高齢者や慢性疾患者が重症化しやすいことから、55歳以上の市民の外出自粛を要請する一方で、新型コロナウイルスに感染した場合の医療機関の利用方法に関する情報を国民に周知するよう指示した。

国民の安全と治安維持のため、治安警察に総動員態勢を敷くとともに、軍に対しても応援を要請した。教育面では、実質的に休校状態に置かれている学童、大学生が余暇を効果的に活用できるよう、自宅からオンラインで参加できる競技大会や講演会など教育イベントの開催を検討するよう指示している。

一方、トカエフ大統領は非常事態と通貨テンゲの下落により危機的状況にある経済を下支えするため、中小企業保護と雇用確保を重視する政策を発表。小企業向けの融資プロジェクトや雇用対策の公共事業プログラムへの予算を増額した。また、借入金の支払い一時停止や、各種税の支払い期限の3カ月延長、収入を失った労働者に対する最低賃金(4万2,500テンゲ、約95ドル)の支給、貧困層に対する追加の救済措置、市民の銀行ローン返済期限延長を金融機関に要請した。加えて、子供の多い家族や障害者、その他の社会的弱者に食料や生活必需品を無料で支給することを約束した(「カズインフォルム」3月23日)。

一方、生活必需品の転売行為に対する摘発を強化し、対象となる商品をリストアップの上、政府が価格統制を行う。また、テンゲの為替レートを安定させるため、準国有企業の輸出収入(外貨)の一部を為替市場で売却するほか、同企業が有する外貨預金の段階的にカザフスタンの金融システムに還元すること、国営企業に対して2019年度の利益配当金の最大100%までの国庫に納付するよう指示している(「フォーブス」誌カザフスタン版3月23日)。

今回の施策に投じられる資金は4兆4,000億テンゲ(約100億ドル。減税措置、地方自治体による支援措置は除外)規模に達する。

(注)3月25日現在の感染者数は80人に達している(ヌルスルタン市41人、アルマトイ市31人、カラガンダ市、シムケント市各2人、アルマトイ州、アクトベ州、ジャンブル州、北カザフスタン州各1人)(「テングリニュース」3月25日)。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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