シェフと連携、メルボルンで和歌山県のスーパーフードを売り込み

(オーストラリア、和歌山)

シドニー発

2020年03月13日

和歌山県の食品事業者や関連団体12社・団体からなるミッションは、2月24日から3日間にわたり、オーストラリアのメルボルンで梅加工品やしょうゆ(長期熟成・グルテンフリーを含む)、コメ、酢、酒類などのスーパーフード(注)を売り込んだ。同ミッションは、「和歌山SUPER FOOD販売拡大ミッション」としてジェトロが主催した。県産品を使った調理方法や料理を具体的に示すなど工夫を凝らし、100件を超える商談が交わされるなど盛況だった。

2月24日に開催された試食会では、オーストラリアで人気のシェフ3人が、和歌山県の食材を使った料理を試作した。梅干しを組み合わせたラム肉料理、梅酒を使ったティラミスなど、和歌山県とオーストラリアの食材が融合したユニークな料理が振る舞われた。試食会では、有名ホテルのシェフが「梅干しの酸味とフルーティーさがさまざまなソースに利用できる」として、同県産の梅干しをその場で注文した。出品者からは「シェフに高評価をいただき、早速オーダーをもらうことができて非常にありがたい」との声が聞かれた。

写真 シェフの試作した料理(ジェトロ撮影)

シェフの試作した料理(ジェトロ撮影)

写真 梅酒を使ったティラミス(ジェトロ撮影)

梅酒を使ったティラミス(ジェトロ撮影)

2月25日に在メルボルン日本総領事公邸で開催された商談会には、メルボルンのレストラン経営者、輸入卸業者らが来場した。メルボルン在住の日本人シェフは和歌山県産の食材をアレンジし、梅酢を使ったカルパッチョ、梅肉ソースを合わせた肉料理などの調理を実演した。オーストラリアのバイヤーは、食材の質だけでなくストーリー性も重視する傾向にあるため、和歌山県側は機能性、ストーリー性などを前面に押し出して自社商品をアピールした。バイヤーの1人からは「日本のサプライヤーは味の良さばかりPRするが、今回は製造工程のこだわりやしょうゆの歴史、梅干しにオーストラリアの塩が使われているなどのストーリーを知ることができてよかった」と好評だった。

写真 総領事公邸で行われたイベント風景(ジェトロ撮影)

総領事公邸で行われたイベント風景(ジェトロ撮影)

写真 梅干しを試食する来場者(ジェトロ撮影)

梅干しを試食する来場者(ジェトロ撮影)

このほか、ミッション参加者は、メルボルンの人気レストランやクラフトビール醸造所などを訪問し、商品を売り込んだ。ある企業は、現地で人気のクラフトビールと梅酒のコラボレーションを積極的に提案し、梅酒風味のクラフトビール製造に向けて梅酒を受注した。

和歌山県への旅行客増が県産品輸出の追い風に

オーストラリア向けの日本産農林水産物・食品の輸出額は、2019年(速報値)に前年比7.8%増の174億円となり、順調に拡大している。堅調な経済成長と購買力の高さに加え、訪日観光客の増加も日本食人気を後押している。2019年の訪日観光客数(推計値)は62万人と、過去最高を記録した。和歌山の世界遺産である高野山・熊野古道への観光も非常に人気が高く、オーストラリア人の宿泊客数は増加傾向にある。

(注)スーパーフードとは、栄養価が高く、健康成分が多く含まれる食品のこと。

(安東利華、西政也)

(オーストラリア、和歌山)

ビジネス短信 bc08f24e82f26b47