日産、新型コロナウイルス影響で工場稼働を停止

(英国)

ロンドン発

2020年03月18日

日産は3月17日、イングランド北部のサンダーランド工場での生産停止を発表した。当面は、停止は17日から20日までとし、その後は自体の経緯を注視し判断するという。同工場では約7,000人を雇用し、キャシュカイ、ジューク、リーフを生産している。BBCなどの報道によれば、同工場では2019年に約35万台が生産されたが、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、中国からの部品調達面での障害とともに需要の低下が顕在化していると日産はコメント。同停止期間中も従業員への給与を支払うとしている。サンダーランド工場の生産停止に加え、新型コロナウイルスに起因するサプライチェーンへの破壊的な影響と急激な需要の低下を鑑み、さらなる追加措置についても検討しているとしている。日産はサンダーランド工場への4億ポンド(約520億円、1ポンド=約130円)の投資計画の一環として、3月6日に新型キャシュカイ生産のための5,200万ポンドの大型プレス機の導入を発表したばかりだった。

日産のほかにも自動車メーカーの生産停止が相次ぐ。16日には、フランスPSAグループが欧州での生産停止の発表、傘下のボクソールは国内のエルスメアー、ルートンの両工場での少なくとも3月27日までの生産停止を週内に開始する。報道によると、両工場では計2,500人を雇用しているが、停止期間中の給与の支払いは行われるとしている。3月上旬にはJLRが複数工場の生産調整を開始していた。同社は新型コロナウイルスとの関連はないとするが、中国市場の停止が理由であるとしており、19日から27日にかけては4,000人を雇用するマーシーサイド工場を一時停止する予定だ(「ガーディアン」紙3月4日)。2月には重機製造大手のJCBも生産調整をしており(「ザ・タイムズ」紙2月14日)、新型コロナウイルスや中国市場の混乱による製造業へのサプライチェーンの悪影響が広がっている。

政府は16日に製造業界に対し、国民医療サービス(NHS)で不足が見込まれる人工呼吸器の製造を支援するよう呼びかけた(2020年3月18日記事参照)。専門家の中には、効果を疑問視する声もあるが、エアバスやロールス・ロイスができる限りの支援を行うことを表明するなど、製造業からは賛同の声も上がっている。

(木下裕之)

(英国)

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