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ドイツ進出、優秀な人材確保のためには現地習慣に沿った待遇が重要

(ドイツ)

欧州ロシアCIS課

2020年03月26日

EU統計局によると、2020年1月のドイツの失業率は3.2%で、ここ数年、労働需給がタイトな状況が続いている。ジェトロの2019年度欧州進出日系企業実態調査でも、45.5%の在ドイツ日系企業が「人材確保」を経営上の課題として挙げている。日系企業への人材紹介を行うキャリアマネジメントの谷田和磨社長とフランク・ベッカー弁護士に、人材確保の課題について聞いた。

日系企業の需要が高い人材は、製品の輸出入、輸送などの手配を担当する物流担当者、総務など事務担当人材、そして営業担当者だという。この中で、最も獲得が難しいのは営業担当だ。多くの進出日系企業が製造業で、技術系の専門知識、業界ネットワークを持っていることが必須とされるためだ。在ドイツ邦人や日本につながりを持つドイツ人は、日系企業への就職に関心を示すが、技術関連の専門スキルがないことがほとんどで、一方、専門スキル人材は特に日系企業への就職のみを志向していない。

また、ドイツで事業を始めるに当たっては、リスク回避の面から、小規模で進出することが多い。ドイツでは零細企業の保護の観点から、従業員10人以下の企業に対しては、被雇用者への解雇からの保護など企業に課せられる規制が緩和されるが、これは求職者にとっては、大きなマイナスに映るという。

現状、日系企業が優秀な人材を確保するための大前提として必要なのは、待遇面での補填(ほてん)だ。業務経験が浅い人材でも、事務系の人材で年間4万ユーロ以上、技術系の人材では5万5,000~6万ユーロ以上が最低ラインだという。

人材確保のためには、こうした現地の労働市場を日本の本社が理解することが重要だ。例えば、ドイツでは一般的には、営業担当者には社用車が提供され、一定ルールの下、私的利用も認められている。しかし、日系企業では本社のルールにのっとり提供されない、また、提供されても私的利用に関して硬直的な運用がなされるなど、現地の習慣に沿った運営が行われないことがある。労働時間についても現地の習慣が知られていないことが多い。ドイツでは法制上、1日の平均労働時間の上限は8時間だ。これを基に、週40時間を労働時間として定める事例がみられるが、現状、週38.5時間労働が一般的なため、週40時間の待遇を提示することも、人材確保の面では不利に働く。さらに、ドイツ人スタッフに情報が共有されない、また、現場の意見が無視され、反映されない時のフィードバックがないことも、現地従業員のモチベーションをそぐ要因となる。

給与の高騰には、都市部における住居費の高騰の影響もあるという。ミュンヘンなどでは手取り給与の半額を住居費が占めるほどだ。一方、ドイツ人は地元志向が強く、優秀な人材でも都市部に移動しない層も一定数いる。こうした地方在住者は住居費が低い分、給与も低く抑えられる。在宅勤務など柔軟な業務体制を取り入れた上で、こうした人材獲得を狙うのも一案だという。

だだ、新型コロナウイルスの感染拡大は、少なくとも短期的には労働市場に大きな影響をもたらす。今後の状況を注視する必要がある。

写真 谷田和磨社長とフランク・ベッカー弁護士(ジェトロ撮影)

谷田和磨社長とフランク・ベッカー弁護士(ジェトロ撮影)

(福井崇泰)

(ドイツ)

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