出張禁止、在宅勤務など感染阻止に取り組む在ニューヨーク日系企業、新型コロナ対策の緊急アンケート

(米国)

ニューヨーク発

2020年03月17日

ニューヨーク市では、3月1日に初めて新型コロナウイルスの感染者を確認して以降、15日午後6時時点で感染者は329人と急速に拡大しており、在ニューヨーク日系企業も対応に追われている。ニューヨーク総領事館、ジェトロ・ニューヨーク事務所、ニューヨーク日本商工会議所(JCCI)は、JCCI会員企業を対象に、新型コロナウイルスの感染防止に関わる対応状況などについて緊急アンケート調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を実施した。調査は3月10~12日に実施し、126社から回答を得た。

6割を超える企業が在宅勤務を実施

勤務体制について、在宅勤務(一部の日だけの場合も含む)を実施している企業の割合は62.7%に上った。ニューヨークに立地する日系企業は統括・販売会社、サービス業関連などオフィスワークが多く、在宅勤務を実施しやすいという面もあるとみられる。ただし、「在宅勤務対象者の選定にあたり、差別にならないような対応に苦慮」などの声も聞かれる。時差通勤に関しては、半数以上(53.2%)が実施していると答えた。また、3月5日、ニューヨーク市保健局は中国、イラン、イタリア、韓国および日本から帰国したニューヨーク市民に14日間の自宅待機を求める旨を発表したが(注)、該当する社員に対して14日間の自宅待機を実施しているか、との問いに対しては、62.0%の企業が実施していると回答している。

社外の者との接触を避ける動きも目立っており、会議や面談を差し控えている企業の割合は37.3%に上る。これに「14日以内に特定の国からの帰国者を対象に」会議や面談の実施を控えている企業の割合(19.8%)を加えると6割弱(57.1%)に上る。出張関係も大きな影響がみられる。米国内出張を見送る企業は6割以上(62.7%)に上る。米国外への海外出張についても、全面的に差し控えている企業の割合が56.3%で、感染流行国など一部の国を対象にしている企業(30.2%)を加えると、9割近く(86.5%)の企業が何らかの形で海外出張を制限している。

いつまで続くのか、終着点が見えず対応に苦慮

ビジネスおよびサプライチェーンへの影響(自由記入)では、「3月、4月の旅行はほぼすべてキャンセルとなっている」「日本からの観光客、日本への旅行者もほぼゼロ。壊滅的な影響」など、特に旅行サービス業への影響が顕著となっている。主に中国から原材料などを輸入する企業からは、供給量の低下や入荷遅延などの声が聞かれる。全体的な影響は軽微とする企業も複数みられるが、「現状は在庫の範囲内で対応中。この先、影響が表面化するリスクあり」と将来に懸念を示す企業もある。また、「今後の経済活動スローダウンによる直接・間接の影響を心配」とする声や「最大の懸念は、影響がいつまで続くのか、終着点が見えないこと」と先行きが不透明な中、対応に苦慮する日系企業の姿が浮かび上がった。

(注)3⽉14⽇、ニューヨーク市当局のガイドラインは改定され、帰国後14⽇間の⾃宅待機の対象国から⽇本は外された。

(若松勇)

(米国)

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