新型コロナウイルス感染拡大で欧州からの入国を制限

(ベトナム)

ハノイ発

2020年03月18日

ベトナム外務省は3月14日、シェンゲン領域の26カ国(注1)または英国・北アイルランドから渡航した、もしくは過去14日以内にトランジットを含む渡航歴のある観光客(注2)の入国を一時停止すると発表した。また、外国人に対する到着時のビザ発給も一時停止する。この決定は2020年3月15日正午から30日間(4月14日まで)適用となる。外国人が専門家、企業管理職、高技能労働者として入国する際には、医療検査を受け、保健省の規定に沿って隔離を含む適切な措置が適用される必要がある。

ベトナム政府は、中国、韓国の一部感染地域からの入国を停止しているほか、韓国、イラン、イタリアからの入国者を14日間の隔離対象としている。デンマーク、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、ドイツ、フランス、スペイン、英国に対しては3月12日よりビザ免除を一時停止していたが、欧州での新型コロナウイルス感染拡大を受け、欧州からの入国制限をさらに強化した。米国からの入国制限の実施についても、米国の状況を踏まえて検討している段階だ。

日本人に限定した入国制限は3月15日時点で発表されていないが、過去14日以内の渡航歴や体調次第では、入国拒否やベトナムでの隔離措置の対象となり得る。また、ベトナム政府の発表とは別に各省・市が独自に制限を発令する事態も起きており、注意が必要だ(2020年3月11日記事参照)。ベトナム航空は各国の入国規制強化や需要減退のため、3月1日より日本路線の一部で運休や機材変更を始め、その対象となるフライトは徐々に拡大している。

帰国者経由で感染拡大、マスク着用義務化に

保健省によると、ベトナムの新型コロナウイルス感染者は3月15日時点で57人となった。欧州や米国などからの帰国者を介して国内での感染が拡大している。感染者には外国人観光客も含まれたことから、ハロン湾やホイアンなどの有名観光地も来訪者の受け入れを一時停止した。4月初旬にベトナム初開催となる予定だったフォーミュラーワン(F1)ベトナムグランプリの延期も決まった。ベトナム政府は3月16日から、多くの人が集まる空港、公共交通機関、スーパーマーケットなどにおけるマスク着用を義務付けると発表した。

(注1)シュンゲン領域の26カ国は、アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、リヒテンシュタイン。

(注2)対象となる観光客には、親族訪問や留学、私的目的の者も含まれる。

(庄浩充)

(ベトナム)

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