入国者全員が医療申告の対象に、ベトナムの新型コロナウイルス対策
(ベトナム)
ハノイ発
2020年03月11日
新型コロナウイルス感染防止のための国家指導委員会(注)は3月6日、ベトナムへの入国者全員に対し、7日午前6時から医療申告を義務付けることを発表した。
医療申告は、入国時に記入するか、事前にオンラインで提出する。既定のフォーマットがあり、過去14日間の健康状態や渡航歴、ベトナムでの電話番号と滞在先などを記入しなければならない。そのほか、搭乗フライトの座席番号や予防接種歴を記入する欄も設けられている。
医療申告は、既に中国、韓国、イタリア、イランから入国・経由される場合に義務付けられおり、7日午前0時からEUおよびカンボジアからの入国・経由も対象となる旨が発表されていたが、このたび対象が入国者全員に拡大となった。
ベトナムでは、中国とのフライトに続き、韓国とのフライトも3月7日以降、運航が一時停止になるなど、外国から感染者が入国しないよう警戒を強めている。
日本からの入国も注意が必要
3月8日時点で、ベトナム政府は日本人に限定した入国制限を発表していないが、熱やせきなどの症状がみられる場合は、入国拒否あるいはベトナム国内での14日間の隔離の対象となり得る。また、感染者と同じフライトの利用が発覚した場合も、当局の監視下に置かれる。他方、在ベトナム日本大使館によると、ハイフォン市は3月6日付で、新たにイタリア、イランや日本からの入国者に対し隔離措置を取る旨を発表し、実際に自宅隔離を求められている日本人もおり、渡航・滞在に当たっては留意が必要としている。
3月8日に開催された国家指導委員会の会議では、EUおよび英国との間で付与されていたビザ免除を一時的に停止する方針を示した。また、感染者数が500件以上、もしくは1日で50件以上増加したEU以外の国に対しても、ビザ免除を一時停止する提案がされた。日本における感染拡大の状況によっては、ベトナム政府が日本からの入国に対し、ビザ免除の一時停止など、さらなる制限を加える可能性が高まっている。
日本人の労働許可発行が、通常どおりに行われない事例も発生している。日本大使館は、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省から「日本であることのみをもって拒否することはない」との回答を得ているが、各地の担当局によっては労働許可発行に慎重になっており、日系企業の中には労働許可申請の受理を拒否されたとの声も出ている。
(注)グエン・スアン・フック首相の指示に基づき、ベトナムにおける新型コロナウイルスに対する予防と管理を進めるために設けられた組織で、ブー・ドゥック・ダム副首相が委員長を務める。
(庄浩充)
(ベトナム)
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