老舗衛生用品メーカー大手、大王製紙・丸紅共同出資会社への全株式売却で高機能製品の拡充狙う

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年03月05日

ブラジルの老舗衛生用品メーカー大手サンテル(ファブリカ・デ・パぺル・サンタ・テレジーニャ)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2月27日、自社の議決権株100%を、大王製紙が51%、丸紅が49%出資する共同投資会社(H&PCパルチシパソンイス)に売却することを発表した。サンテルは売却額を23億300万レアル(約553億円、1レアル=約24円)(負債額を含まず)としている。同日付の現地紙「バロール」は、2019年9月末時点の同社の負債額を6億レアルと報じている。

サンテルのジョゼ・フーベンス・デ・ラ・ホーザ最高経営責任者(CEO)は、今回の自社株売却の狙いは、ブラジルや中南米諸国での製品の多角化と販売拡大だと強調している。同社によると、大王製紙は南米地域やアフリカ南部・西部地域で事業開拓を行う計画があることを明らかにしている。

サンテルの発表によると、大王製紙と丸紅はブラジルの人口増加などを背景に、パーソナルケア製品を含む消費財市場が顕著に拡大していることから、ブラジル市場への参入を決めた。ブラジルのホーム&パーソナルケア(トイレットペーパー、使い捨て紙おむつ、生理用ナプキン、テーブルナプキンを含む)の市場規模は世界第4位で、過去5年間で家庭用の紙製品は年率5.6%、紙おむつは5.4%増加している。両社はまた、ほかの途上国と同様に、ブラジルでも高齢化が進み、大人用紙おむつの需要が拡大すると見込んでいる。両社はサンテルのブランド力を高く評価し、同社を通じて新技術を活用した新たな大人用紙おむつの製造・流通を行う。加えて、病院やクリニック業界向けに販売拡大を目指す。

サンテルは1938年設立の80年以上の歴史を有する衛生用品メーカー大手。トイレットペーパー、キッチンペーパー、ティッシュペーパー、ペーパータオル、テーブルナプキン、生理用ナプキン、紙おむつ、ベビー用ウエットティッシュなど幅広い製品を展開している。年間生産量は18万トンに上る。

ブラジルでは、2014年にユニ・チャームがサンパウロ州ジャグアリウーナ市に工場を竣工し、ベビー用紙おむつ市場に参入している。同セグメントではP&Gの「パンパース」やキンバリークラークの「ハギーズ」が流通しているが、後発のユニ・チャーム「マミーポコ」は他社より価格が若干高いものの、漏れない紙おむつとして消費者から高い評価を得ている。同社の2019年12月期決算概要によると、ユニ・チャームのブラジルでの2019年売上高実質増減額(会計管理ベース)は前年比30%増となっている。

(大久保敦)

(ブラジル)

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