ウクライナ、新型コロナウイルス感染例発生も、入国規制は行わず

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2020年03月12日

ウクライナ保健省は3月10日、ウクライナ国内で確認されている新型コロナウイルスの感染例は3月3日に発表された1件のみであると発表した。ビクトル・リャシュコ保健副大臣の3月3日の発表によると、患者はイタリアからルーマニアのスチャバを経由してウクライナに飛行機で帰国した男性で、経過は良好で合併症も併発していないという。なお、ウクライナ公衆衛生センターでは、感染の疑いがある4人の検体が検査中である(3月10日時点)。

ウクライナ保健省はコロナウイルスの感染拡大を受け、ウクライナ国民に感染が拡大している国への渡航を自粛するように呼び掛けている。感染地域には、日本のほか、スペイン、イタリア北部、フランス、ベトナム、韓国、イランが挙げられている。他にも、同省は、米国疾病予防管理センター(CDC)が企業や雇用主に対して出した勧告を引用し、企業や従業員に対して、以下の対応を求めている。

  1. 急性呼吸器疾患の症状がある従業員は出社せず、自宅待機すること。
  2. 急性呼吸器疾患のある人が仕事に来た場合、すぐに他の従業員から隔離し、帰宅させること。

上記以外にも、職場を定期的に清掃することや、消毒用アルコールの利用もしくは石鹸を用いた20秒以上の手洗い、同省の示す出張時のガイドラインを遵守することを推奨している。

在ウクライナ日本国大使館によると、3月3日時点で、日本人の入国規制は行われていないが、ウクライナ政府は、入国時に全員の体温検査を行うと発表している。そのためウクライナ入国時に発熱や風邪の症状が確認されれば、隔離され、検査が行われることになる。また、ウクライナ滞在中に新型コロナウイルス感染が疑われる症状が出た場合、かかりつけ医師もしくは救急電話番号(103番)に連絡して指示を仰ぐとともに、新型コロナウイルスの感染の可能性があると診断された場合は、直ちに在ウクライナ日本国大使館領事部まで連絡するように呼び掛けている。

現時点で入国規制などは行われていないとはいえ、今後突然各種規制が行われる可能性もある。そのため、今後ウクライナでの新型コロナウイルスの状況について、ウクライナ保健省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますウクライナ最高会議の新型コロナウイルス感染に関する特設ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます在ウクライナ日本国大使館外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのウェブページを確認しておくのが望ましい。

また、ウクライナと日本の間には直行便がないため、出入国の際には第三国を経由することになる。第三国となる渡航国・経由国が入国規制を行っている可能性もあるので、それらの国についても、外務省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどで情報収集をしておく必要があるといえる。

(楢橋広基)

(ウクライナ)

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