2~3月は大手越境ECサイトでの販売増、大連の輸入販売業者に聞く

(中国)

大連発

2020年03月25日

中国で、新型コロナウイルスの影響から消費が落ち込む中でも、越境EC(電子商取引)は好調だという。日本製のキッチン用品や日用品を輸入し、TMALLやJD.comなどの越境ECサイトで販売している大連良品生活貿易(遼寧省大連市)の姜征海総経理に、新型コロナウイルスの影響や売れ筋商品、今後の事業展開について聞いた(3月19日)。

同社は2011年から日本企業との取引をスタートし、2017年には大阪で現地法人を設立。それ以前は日本から一般貿易で商品を輸入し、主として中国各地の百貨店など実店舗で販売していたが、現在は越境ECが売り上げ全体の95%を占める。

(問)新型コロナウイルスによる影響は。

(答)現在のところ影響はない。2月の売上高は約1,300万円で、前年同月比60%増となっている。3月の注文量も前年の水準を上回っている。新型コロナウイルス感染の拡大がECでの消費に与える影響が少なかったほか、中国国内の多くの工場が生産を一時停止したため商品供給が間に合わず、結果的に輸入品へのニーズが高まったことが要因として考えられる。物流は海運を利用して大連港と上海港経由で輸入通関したが、大きな問題はなかった。また、日本国内での商品調達に特段影響はなかった。

(問)売れ筋商品は。

(答)売れ筋商品は雪平鍋、マグカップ、ガラスコップ、土鍋、箸などだ。とりわけ雪平鍋は人気商品。最も売れているのは18センチのもので、小売価格は150元(約2,400円、1元=約16円)前後。2018年の当社の中国における年間販売量は約6万個、2019年は11月11日(独身の日)だけで約2万個を売り上げた。軽くて洗いやすく、ラーメンなどの軽食を作る際に最適だ。越境ECの主なユーザーは20~30代の若者で、この世代は面倒なことを嫌う傾向があり、それら消費者層のライフスタイルに合致したことが爆発的に売れた要因だろう。

(問)日本の商品に対する中国の消費者の嗜好(しこう)の変化は。

(答)数年前まで、日本からの輸入品の主な購買層は高収入の40~50代で、高品質な日本製の商品を求める傾向が強かった。しかし、現在は20~30代の若年層が主な購買層となっている。この同世代は「日本企業の商品」であることへのこだわりは強いが、原産地が日本であるか他の国であるかには特にこだわりがない。また「かわいい」「おしゃれ」など、商品の見た目を重視する傾向が強く、和風なデザインや猫などが描かれた商品がよく売れている。従って、今時の若者の嗜好に合った商品選定が非常に重要となる。

(問)今後の事業計画は。

(答)現在、「TMALL国際」の直営店のフォロワー数は約1,500万人で、当社では今後、取扱商品の種類を拡大する計画だ。また、「JD.com」も2018年末から輸入品を専門に扱う直営店の拡大を図っている。当社にとっては商機であり、日本でより多くの良い商品を発掘したいが、日本企業との取引で主な課題が3点ある。1つ目は、日本企業の供給態勢だ。日本で商品を調達する際、取引先の多くは中小企業であるため、大量の注文に柔軟に対応できる態勢が整っていないことが多い。また、中国市場の特徴に合わせて商品のサイズやパッケージなどの改良に柔軟に対応することも弱い。2つ目は、大企業に多くみられることだが、商談の意思を伝えた後、日本側での内部審議に時間がかかり過ぎる傾向がある。3つ目は、新規商品の輸入販売に際し、日本側と中国側で商品の商標登録が必要となるが、商標登録に対して意識していない日本企業が多い点だ。

(呉冬梅)

(中国)

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