世界の若者向け教育システムランキングで23位、教育環境を評価

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月03日

世界最大の国際教育賞「Yidan Prize」を運営する財団「Yidan Prize Foundation」が英国経済誌「The Economist」の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」に対して調査を委託し、2020年1月に発表した「The Worldwide Education for the Future Index」によると、世界50カ国・地域中、フィリピンは23位にランクインした。

同調査は、若者が将来必要とするスキルを、その国・地域の教育システムがどれほど提供できているかを指数化してランキング化したもので、若者が将来、職業や生活において直面する課題や挑戦に対応するために、どれほど有用な教育システムをその国・地域が提供できているかを評価したものだ。

フィリピンは、教育環境は22位と比較的高く評価された一方、政策(29位)、社会経済環境(28位)が低く評価された。

世界で最も高く評価された国・地域の上位10カ国・地域は、首位から順にフィンランド、スウェーデン、ニュージーランド、シンガポール、オランダ、カナダ、スイス、オーストラリア、ドイツ、日本だった。

比較対象とされた50カ国・地域のうち、フィリピンと同様に低・中所得国に該当する国・地域で比較した場合、フィリピンはメキシコに次いで2番目に高く評価された。また、50カ国・地域の所得水準を全て同等の水準に平準化して比較した場合、フィリピンは50カ国・地域中、フィンランドに次いで世界に2番目に高く評価されている。

ただし、日系企業の評価は少し異なる。フィリピンの日系企業を対象にジェトロが実施した「2019年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」によると、日系の製造業のうち44%が「人材(技術者)の採用難」を経営上の問題点として挙げた。大学進学率が約3割で、理系の学科を持つ大学が少なく、雇用の受け手となる製造業の企業数も比較的少ないフィリピンでは、技術者の確保の難しさが以前から問題となっており、ベトナム(34%)、インドネシア(22%)、タイ(33%)と比較しても高い数字になっている。

高度な技術や知識を要しないワーカークラスの人件費や労働人口は、ベトナム、インドネシア、タイといった周辺諸国と比較して競争力を保っているが、多くの日系企業は、日系企業が求める量と質の技術者を、フィリピンは十分に供給できていないとみている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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