新型コロナウイルスで大卒者の就職難も、AIなど分野で人材育成強化の動き

(中国)

大連発

2020年03月16日

2月28日、中国教育部の翁鉄慧副部長は、国務院の記者会見において、2020年の中国の大学院生の入学定員につき、中国東北地域と中西部地域に比重を置き、前年比で18万9,000人増員する方針を示した。

翁鉄慧副部長は増員の背景について、新型コロナウイルス感染拡大による大卒生の就職難が課題となる中、中国の国家戦略および民生ニーズに合致する分野における人材不足が顕著であることを挙げ、臨床医学、IC(集積回路)、公衆衛生、AI(人工知能)などの分野で定員増員を行うとした。

3月3日には、教育部・国家発展改革委員会・財政部が共同で「『双一流』創設大学における学科の融合の促進とAI分野における大学院生の育成加速に関する若干意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注)を公布し、AI人材の育成に向け、主に次の4点に取り組むとした。

  1. AI専攻を中心に大学院生の募集を拡大する。特にAIの基礎・応用理論の研究、研究成果の産業転換の促進、中核となる技術によるイノベーション創出に重点を置く。
  2. AIと基礎学科、IT、医学、哲学、社会学との知見の融合を重視し、学科の枠を越えて関連分野を学ぶカリキュラム編成を通して、AI関連の技術と他学科との融合を促しながら、実践力を備えた複合型人材の育成を目指す。
  3. 大学とAI関連企業、産業化基地、地方政府との間で、共同人材育成プログラムを実施するなどにより、産学官連携を促進する。
  4. 国家級のAIイノベーションプラットフォームにおいて、AI技術に関する重点課題等の意見交換の場を設ける。

大学院生の入学定員増員が実現した場合、中国における2020年の大学院入学定員枠は110万6,000人に達する見込みだ。AIなどの分野で人材育成を進めることでイノベーション創出を促し、東北等の地方経済活性化に寄与することが期待される。

(注)双一流とは、中国の高等教育政策において認定された世界レベルの一流大学・一流学科の略称である。

(李莉)

(中国)

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