政策金利は過去最低の0.25%へ、中小向け金融支援策を続々発表

(オーストラリア)

シドニー発

2020年03月25日

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は3月19日、新型コロナウイルスの感染拡大によって影響を受けている金融市場の安定化と国内経済支援のため、政策金利の引き下げを含む、包括的な支援パッケージを実施すると発表した。

政策金利は、3月3日の定例理事会で0.50%まで引き下げられていたが、この度、緊急開催された理事会でさらに0.25ポイント引き下げられ、過去最低の0.25%となった。RBAのフィリップ・ロウ総裁は、「金融市場の変動性が非常に高くなっており、株価は大幅に下落し、国債利回りは史上最低にまで低下している」と述べ、「完全雇用の実現に向けた進展がみられるまで、政策金利が引き上げられることはない」と説明した。

RBAは、政策金利引き下げのほか、包括的な支援パッケージの一環として、オーストラリア国債の流通市場での購入を通じて、3年国債の利回り目標を約0.25%に設定すると発表した。さらに、特に中小企業への融資を促進するため、0.25%の固定金利による、期間3年の資金調達制度を提供することも発表した。この制度によって少なくとも900億オーストラリア・ドル(約5兆8,500億円、豪ドル、1豪ドル=約65円)が提供される。

また、スコット・モリソン首相は3月19日、消費者や中小企業が引き続き手ごろな融資を受けられるよう、小規模金融機関・貸付事業者向けに最大150億豪ドルの支援策を実施すると発表した。モリソン首相は、「この支援策は、RBAが提供する資金調達制度を補完するものであり、これらの支援策を組み合わせることで、金融機関は引き続き顧客をサポートすることができる」と説明した。

さらに、オーストラリア銀行協会(ABA)は3月20日、新型コロナウイルスの影響を受けた小規模企業に対して、ローンの返済を6カ月猶予する支援策を発表した。この支援措置は、債務総額が300万豪ドル未満の小規模顧客向けに実施されるもので、既存の1,000億豪ドルを超える小規模企業向け融資に適用される。

(住裕美)

(オーストラリア)

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