防災リスク削減に役立つ国際規格ISO 22392発行
(スイス、世界)
ジュネーブ発
2020年03月16日
スイス・ジュネーブ所在の国際標準化機構(ISO)は2月28日、災害リスク削減(DRR)方針を策定し実行する組織向けに、新たな国際規格「ISO 22392:セキュリティーとレジリエンス - コミュニティーのレジリエンス(注1) – 相互評価実施のガイドライン」を発行した。
この規格は組織向けに、災害リスクを減らすための相互評価(peer review)の方法を示すもの。相互評価は、異なる組織が災害リスク削減のための案を練って実行する「ホスト」と、それを評価する「評価者」に分かれて行う。ホストは評価者のフィードバックを得ることで災害リスク削減策を改善でき、評価者もホストを評価する過程で得た知見を基に自身の災害リスク削減策の見直しができる。都市などの地方自治体から企業やNGOなどの組織まで、組織の規模や形態を問わず、広く適用できる。
この国際規格は、計画段階でホストと評価者が合意すべき対象、実行段階でホストが評価者に提供すべき情報の内容など、「計画・実行・アセスメント・改善」の段階ごとに具体的な指針を示している。
また、序章の中で、国連の「仙台防災枠組み2015-2030」(注2)のグローバルターゲットの1つ「2020年までに、国家・地方の防災戦略を有する国家数を大幅に増やす」に沿うと言及している。
ISOは国際規格を発行する非政府組織(NGO)で、日本を含む164カ国が加盟している。分野ごとに組織する専門委員会(TC)に専門家が集まり、議論や投票を経て国際規格を作成する。今回の規格ISO 22392はセキュリティーやレジリエンス分野を担当するTC 292が作成した。TC 292は事業継続マネジメントシステム(ISO 22301)の作成も担当している。
(注1)レジリエンス:回復力、復元力、危機対応能力などを指す。
(注2)仙台防災枠組み2015-2030:2015年3月に宮城県仙台市で開催された第3回国連防災世界会議で採択された文書。防災に関する4つの優先行動と7つのグローバルターゲットを定めている。
(小谷由紀子)
(スイス、世界)
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