競争委員会、M&A事前審査対象となる取引額を引き上げ

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月16日

フィリピン競争委員会(PCC)は2月17日、国内の吸収合併(M&A)案件のうちPCCの審査対象とする取引規模を22億ペソ(約46億2,000万円、1ペソ=約2.1円)から24億ペソに、当事者規模(注)を56億ペソから60億ペソに、それぞれ3月1日付で引き上げると発表した。ただし、M&Aの当事者はM&A合意契約後30日以内にPCCに対して通知し、審査を受ける必要があるとした。

PCCはこれまで207件、総額3兆6,000億ペソのM&A案件を審査対象として通知を受け、そのうち192券を承認し、1件を却下した。2019年で最も通知が多かった分野は製造業、電気・ガス、金融・保険、不動産、運輸・倉庫業とした。

PCCは2018年に発出した通達で、審査対象となる取引規模や当事者規模の下限を前年の名目国内総生産の成長率に応じて見直すとしており、今回の見直しは2015年のフィリピン競争法施行以降3回目となる。PCCのアルセニオ・バルサカン委員長は、審査対象の下限の引き上げにより、PCCの人的リソースをカルテル調査や市場調査といったほかの重要案件に充てることが可能となるとした。

競争法の施行以前は、フィリピンは東南アジア諸国の中で唯一、競争法を定めない国だった。国会では20年以上の審議を重ね、2015年にようやく競争法を施行した。

(注)吸収合併の当事者の少なくとも一方の最終親会社(届け出会社の親会社であって他の会社の子会社でないもの)の資産額または年間売上高。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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