上院財政委員長、税制改革関連法案の早期可決に意欲

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月04日

上院財政委員会のフリアナ・カエタノ委員長は2月5日、日系企業を含む多くの外資系企業が入居する、フィリピン経済特区庁(PEZA)などの経済特区の税制優遇制度(注1)の抜本的見直しを規定する(2019年10月2日付地域・分析レポート参照)税制改革第2弾法案(CITIRA法案)が、上院をまもなく通過するとの見通しを発表した。2月5日付の「ビジネスワールド」ほか地元各紙が報じた。

CITIRA法案は2019年9月に下院を通過後、上院での審議が進められており、2月19日に上院財政委員会の承認が完了した。その後、法案の審議が順調に進んだ場合、CITIRA法案は上院本会議で可決され、両院協議会での審議を経て、ドゥテルテ大統領の署名に移ることになる。

日本や米国など、在フィリピンの外国商工会議所で構成される外国商工会議所連合(JFC、注2)は2019年9月、CITIRA法案が成立した場合、初年度に70万3,000人の雇用が失われるとの試算を発表するなどし、CITIRA法案の成立に反対の姿勢を示している。

カエタノ委員長は、税制改革第2弾法案に加えて、上院での審議が進んでいる不動産など固定資産の評価方法を国際標準に統一する第3弾法案、金融関連税に関わる第4弾法案についても、間もなく上院本会議で可決させる意向を示した。

なお、ドゥテルテ政権は2018年1月1日付で、税制改革第1弾法案(各種物品税増税および個人所得税減税)を施行済みだ。

(注1)PEZAに入居する製造業の場合、(1)法人所得税の3~6年間の免除(ITH)、(2)ITH終了後は売上総利益の5%を法人所得税とする特別所得税率の適用、(3)関税、埠頭(ふとう)税、輸出税の免除、(4)税関手続きの簡略化、などが適用されている。

(注2)JFCは、米国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、欧州、日本、韓国の現地組織およびPAMURI(フィリピン多国籍企業駐在事務所協会)で構成されている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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