医薬品の小売・卸売価格に上限設定する大統領令を発行
(フィリピン)
マニラ発
2020年03月09日
フィリピンのドゥテルテ大統領は2月17日、133種類の医薬品の小売価格と卸売価格に上限を設ける大統領令「Executive Order No.104」に署名、発行した。
大統領令第8条では、発行日から90日以内は従来の価格で販売または卸売りすることが可能だが、91日目以降は別表(注)に定める上限小売価格と上限卸売価格を順守しなければならないと規定した。
大統領令の序文で、高価な価格設定のために多くのフィリピン国民は医薬品を購入することができず、特に貧困層の病気の羅患率や死亡率が高くなっているとし、医薬品の小売・卸売価格に上限を設ける必要性に言及した。
第2条では、上限小売価格について、国内全てのドラッグストアや病院、健康関連施設、コンビニエンスストアなどで医薬品を消費者に販売する際に適用されると規定した。上限卸売価格については、国内全ての製造業者、卸売業者、貿易事業者、販売代理店やそのほか医薬品の卸売りを行う者に適用されるとしている。
ドゥテルテ大統領はかねて、フィリピンは他国より医薬品の小売価格が高いとし、医薬品の小売価格の上限設定によって現在の半額程度まで価格が下がり、より多くの国民が医薬品を購入できるとして、大統領令の早期発令の意欲を見せていた。
2月18日付の「ビジネスミラー」など各紙によると、医薬品業界団体のフィリピン医薬品ヘルスケア協会(PHAP)は、大統領令には従うものの、特に小規模のドラッグストアが閉店に追い込まれるとの懸念を表明した。また、他国で同様の市場価格操作を行った場合に医薬品の需給バランスが崩れ、サプライチェーンに支障をきたす可能性も指摘している。
(注)133種類の医薬品の小売価格と卸売価格を規定する表。大統領令の4ページ目以降参照。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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