企業にメンタルヘルス対策を義務化する省令発令、労働雇用省

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月10日

フィリピン労働雇用省(DOLE)は2月19日、国内の公的機関を除く全ての企業、事業所を対象として、メンタルヘルス対策を義務付ける省令(DO No.208, Series of 2020)を発令したと発表した。3月5日付で有効となった。

省令は第2条で、全ての職場、事業所はメンタルヘルス職場政策プログラムを策定することを義務化し、(1)メンタルヘルス不調の状態または不調になるリスクがある職員に対してサポートを行い、偏見や差別を防ぎ、必要な医療サービスを受けさせること、(2)健康で生産的な生活を通して職員が身体的、精神的、社会的に良好な状態となることを促進すること、(3)メンタルヘルス職場政策プログラムは経営陣と労働者の代表で構成するメンバーによって、企業の労働安全衛生政策プログラム(注)の一部として作成されること、の3点をメンタルヘルス職場政策プログラムに盛り込むことを規定した。労働組合と雇用主が合意した労働協約(CBA)に含めることも可能としている。

省令第6条は、職場で発生した疾病や診療の結果は社内に設置するクリニックか、社内クリニック設置が法律上求められていない場合は人事関連部署で記録を残すことを規定し、限られた関係者のみがアクセスできることとした。また、職場で傷害や疾病が発生した場合は、管轄のDOLE地方事務所に対して報告することとした。

省令9条では、企業が省令に反する行為を行った場合は「労働安全衛生基準順守強化法」(共和国法第11058号)やその他既存の法律の定めに従い、罰則を科すことを規定している。労働安全衛生基準順守強化法では、違反企業は2万~5万ペソ(約4万~10万円、1ペソ=約2円)の罰金を科すとしている(2019年3月15日付地域・分析レポート参照)。

(注)職場での疾病の感染予防や健康促進を促すために企業ごとに策定する労働安全衛生に関する基本方針。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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