新型コロナウイルスの中国国内状況がロシア経済にも影響

(ロシア)

モスクワ発

2020年03月13日

新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大する中、ロシアでも警戒感が高まっており、社会・経済活動に徐々に影響をもたらしている。

ロシアでもマスクが手に入りにくい状況が発生している。ロシアではマスクをつける習慣が広まっていなかったこともあり、もともと薬局の在庫が少なかった。それに加え、世界的な需要の高まりもあり、現在店頭ではほぼマスクが見られない状態だ。液体せっけんやティッシュなどは3月10日時点では流通に問題はない。

関係当局は感染流行地域からの渡航者の行動制限措置(2020年3月10日記事参照)、大規模イベントの開催禁止(2020年3月13日記事参照)、欧州主要感染国との航空便停止措置を次々と打ち出している。この状況の中、世界的な感染の拡大はロシア経済にも徐々に影響を及ぼしつつある。

カーネギー国際平和財団モスクワ事務所のアレクサンドル・ガブエフ上級研究員は、3月5日に開催された在ロシア米国商業会議所での講演の中で、コロナウイルスに関連する中国国内の経済停滞がロシア経済にもマイナスの影響を与えるだろうと指摘した。

具体的には、a.中国国内での需要減少によるエネルギー資源輸出の減少、b.中国国内での生産停止や物流のまひによるロシアでの組み立て部品の供給の不安定化、c.観光客の減少による観光産業への打撃――などが予想される。また、ロシア極東では2月に中国との国境を閉鎖したことで野菜の値段が高騰、中国からの輸入の比率が高いロシア極東経済に大きなダメージを与えたと指摘した。

(梅津哲也)

(ロシア)

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