米南東部の日系企業、新型コロナウイルスの影響で海外出張を大幅自粛、3割強が在宅勤務を導入

(米国)

アトランタ発

2020年03月16日

米国での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ジェトロは3月9~12日に南東部6州(注)の日系企業を対象に、出張や面談の制限の有無、社内のガイドライン作成状況、在宅勤務導入状況などについて、緊急アンケート調査を実施した(回答企業数62社、添付資料参照)。

従業員の移動については、各社が海外出張を大幅に自粛しており、「日本から米国への出張は原則不可」と回答した比率が73%、「米国からの海外出張は原則不可」が58%となった。条件付きで認めている場合でも「不要不急のものは自粛」で、緊急時には部門長や役員など上層部で可否を判断しているケースが目立った。米国内の出張については「可」(48%)、「条件付きで可」(44%)が多かったが、約1割の企業が「飛行機での出張は原則不可で車での移動のみ」と回答した。

自社での来訪者の受け入れに関しては、約半数が「制限なし」と回答したが、「過去14日以内に感染流行国への渡航履歴がある訪問者はお断り」とした企業が36%、さらに、そうした渡航者と「接触した訪問者はお断り」とした回答が13%あった。他方、取引先などの訪問については「特に断られたことがない」との企業が58%あったが、「面談は一律お断りと言われたことがある」との声も2割近くあり、米国での感染拡大が今後進めば、この割合がさらに増える可能性がある。外部イベントや会合への参加は、「原則不可」(32%)、「条件付きで可」(26%)と慎重な判断をしている企業が多く、条件として「少人数のイベントに限り参加を認める」「フライト・宿泊を伴わないものに限る」とする声が複数あった。

新型コロナウイルス対応を想定した従業員向けガイドラインについては、65%の企業が作成していると回答した。作成の際には、政府や州公衆衛生局、米国疾病予防管理センター(CDC)の発表を参考にしている企業が多かった。

在宅勤務を導入している企業の割合は約3割だった。対象者は「日本からの渡航者・新規赴任者」や「感染者発生に伴う休校の影響を受けた親」など従業員の個別の事情を踏まえて定めている企業と、「営業職」や「製造、技術以外」など職務内容によって決めている企業にわかれた。また、必要に応じて全員を対象としている企業もあった。

ビジネスへの影響については、新型コロナウイルスが猛威を振るった中国での生産停止・縮小の影響により、中国からの部品などの調達に遅れが生じている、供給不安があるなどのマイナスの影響を挙げた企業が25%(16社)に上った。「日本からの調達に切り替えた」「2月の業績の下方修正を余儀なくされた」との声もあり、各企業のサプライチェーンへの影響が浮き彫りとなった。また、現時点での目立った影響はないが長期化した場合には影響が生じてくると回答した企業が全体の1割を占めた。

(注)ジェトロ・アトランタが管轄しているアラバマ州、フロリダ州、ジョージア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テネシー州の6州。

(高橋卓也)

(米国)

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