新型コロナウイルス対策下でもIMMEX企業は操業を継続

(メキシコ)

メキシコ発

2020年03月30日

保健省が3月24日に官報公示した「健全な距離維持のための全国キャンペーン(JNSD)」に基づく新型コロナウイルス感染抑制策の適用下でも、輸出向け製造・マキラドーラ・サービス業振興プログラム(IMMEX)を活用している製造業などは操業が続けられるようだ。

ジェトロが3月27日に入手した、全国マキラドーラ・輸出製造業評議会(INDEX)のヘラルド・バスケス新型コロナウイルス予防対策ワーキンググループ長が3月24日に会員企業・団体に宛てた書簡によると、経済省がINDEXのルイス・アギーレ・ラング会長に連絡し、経済省と保健省が調整した上で、保健省令の内容(2020年3月26日記事参照)の調整と明確化が行われたという。明確化とは、保健省令(の第2条a)に規定された65歳以上の高齢者など新型コロナウイルスの感染リスクが高い労働者を出勤させないことを条件に、輸出製造業の活動は継続できるということだ。

24日付保健省令第2条c)は、人の密集や移動を伴う活動の4月19日までの停止を定めているが、従業員の自宅から職場への出勤も「移動」とみなされるため、事業継続のために職場における労働を必要とする製造業であっても全ての活動を停止する必要があるのかという点で疑問と混乱があった。同書簡によると、経済省は保健省とも調整してINDEX会員企業や加盟団体傘下の企業の操業継続を条件付きで認めたことになるが、さらに、経済省はこのことを速やかに会員に周知することを求めたようだ。

健全な距離確保のための相応の配慮は必要

IMMEX企業などの輸出製造業は3月24日以降も操業を続けられると考えられるが、高齢者など感染リスクの高い労働者を自宅待機にする措置だけでなく、職場における健全な距離(注)確保のための相応の配慮が必要になるだろう。メキシコの政治動向を中心にインターネットで比較的長いレポートを発信するニュース媒体であるシンエンバルゴ・ドット・エメエキス(Sin embargo.mx)は3月27日、ユカタン州で2,000人超の労働者を雇用するドイツ系ワイヤーハーネス輸出製造企業が、健全な距離を保つことなく従業員を労働させているという内容の長文のレポートを掲載した。地元の非営利団体代表からの告発に基づく記事だが、企業イメージを大きく損なう内容になっているため、同様の告発を受けないよう注意が必要だ。

(注)保健省は隣の人との間に1.5メートルの間隔を設けることを「健全な距離」として推奨している。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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