循環経済法で使い捨てプラスチックからの脱却を目指す

(フランス)

欧州ロシアCIS課

2020年03月26日

フランスでは、2016年1月に他国に先駆けて使い捨てプラスチック製レジ袋の使用を禁止するなど、廃プラスチックへの取り組みを進めてきたが、2020年2月10日に制定された循環経済法で、取り組みをさらに強化することとなった。同法は、大量生産・大量消費・大量廃棄型から循環型の経済社会への転換を目指すもので、幅広い内容を含むが、柱の1つは、使い捨てプラスチックからの脱却になっている。2040年に使い捨てプラスチックの上市(市場への投入)を禁止するという長期的なゴールを設定し、個々の製品について、以下のような使用禁止のスケジュールが設定されている。

  • 2020年1月1日:カップ、グラス、皿
  • 2021年1月1日:ストロー、花吹雪、ステーキ用ピック、カップ用ふた、ナイフ・フォーク・箸などのカトラリー、マドラー、プラスチックのフィルムが付いた皿、発泡ボリスチレンの容器・ボトル、風船用スティック
  • 2022年1月1日:ティーバッグ、野菜・果物の包装、新聞・雑誌・広告の包装、ファストフードの子供用メニュー向けのおもちゃ
  • 2023年1月1日:ファストフードでのカップ、グラス、カトラリー(再利用可能なものと置き換え)

これまで、使い捨てプラスチックに係る規制は、エネルギー転換法、生物多様性法、食品法など複数の法律に分散していたが、今回、循環経済法に一本化された。EUが制定した使い捨てプラスチック製品の流通を禁止する指令(2019年5月22日記事参照)との関係では、2020年1月から禁止となったのはカップ、グラス、皿のみで、ほかの品目については、指令の国内法制化の期限に近い2021年1月からの禁止となった。

また、プラスチック関係では、上市される使い捨てプラスチック飲料ボトルの量を2030年までに50%削減する目標の設定と、2022年からの公共施設での水飲み機の設置が義務付けられた。そのほか、海洋プラスチックごみ問題への対応として、2025年以降に販売される洗濯機へのマイクロファイバー回収用のフィルターの設置を義務付け、消費者に誤解を与えないよう、プラスチック包装物への「生分解性」「環境を尊ぶ」などの記載の禁止などが定められている。

リサイクル企業の業界団体FEDERECの関係者は、同法が定めるとおりに状況が進むと、再生プラスチックの原材料となる廃プラスチックの供給量が減り、リサイクル業者にとって投資インセンティブが働かなくなる、との懸念を示している。同法では、プラスチックメーカー、地方自治体、消費者・環境保護団体などが5年ごとに協議して、現実的な目標と確実な対応策を政令として定めることも規定している。

(立川雅和、奥山直子)

(フランス)

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