マスク不足に対する韓国政府の取り組み、価格高騰を防げるか

(韓国)

ソウル発

2020年03月04日

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は3月1日、国民がマスクを購入できない状況を打開するため、マスクの供給と需要の詳細を公表することを発表した。

韓国政府は大量のマスクを海外に持ち出すことを禁じるため、保健用マスクや手の消毒剤の買い占め行為禁止告示(2020年2月7日記事参照)を既に施行しているが、企画財政部は2月26日、「マスクの供給安定化に向けた追加措置タスクフォース会議」を開催し、マスクの1日当たりの生産量のうち、輸出用を10%以内に制限するとともに、50%以上を政府指定の公的販売先に出荷することを義務付ける緊急需給調整措置を発効させた。

今回の措置により、マスクの原材料となる不織布の価格と需要動向を監視しマスク製造の増産を支援することと、マスク製造業者と政府との間で公的な販売契約を取り交わすことでマスク市場価格の安定化を目指す。また、消費者にマスクを適正に供給するために、郵便局や農協ハナロマート、薬局など政府指定の公的販売所を通じた販売を2月28日から開始した。

ジェトロがソウルの西大門駅近辺の薬局を調査したところ、5枚7,500ウォン(1枚1,500ウォン=約135円、1ウォン=約0.09円)で販売後すぐに完売、ダイソーでは1人3枚の購入制限をかけて1枚2,000ウォンで販売したが、午前中に完売、政府系の幸福デパートでは、1人5枚の購入制限で1枚1,000ウォンで売られていた(いずれも2月28日時点)。なお、新型コロナウイルス感染拡大前のマスクの価格は1枚700~800ウォン程度だった。

ソウルの観光地の明洞では、ドラッグストアやスニーカーショップの店頭で数量制限なしの1枚3,000ウォンで販売されており、政府のマスク価格抑制の効果はまだ表れていない。

〔末永敏、尹汝正(ユン・ヨジョン)〕

(韓国)

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