上場企業の資産売却規制を強化へ、少数株主保護と企業統治改善

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月17日

フィリピン証券取引委員会(SEC)は2月21日、上場企業の資産売却の規制強化のための通達案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。3月7日までパブリックコメントを募集し、その後、規制内容をまとめる。同様の規定を定める、2019年2月成立の改正会社法(共和国法第11232号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))第39条にのっとった規制強化の動きだ。

通達案によると、上場企業がその総資産額の51%以上を売却する場合は、株主の3分の2以上の承認を義務付けるとする。ただし、一回の資産売却に限らず、最初の資産売却から1年以内の資産売却額が総資産の51%を超える場合に、株主の3分の2以上の承認を義務付け、最新の財務諸表上の総資産額を基に判断すると定める。

SECは2019年10月、2020年第1四半期(1~3月)中にも、上場企業の最低浮動株比率(注)を現行の10%から25%に引き上げると発表した(2019年10月29日記事参照)。引き上げはまだ実施されていないが、仮に引き上げが見送られた場合は、資産売却における少数株主を含む、一般投資家の影響力や企業統治(コーポレートガバナンス)改善の効果は限定的となり、通達案の効力は薄れるとみられる。

(注)一般投資家などが売買可能な市場流通性の高い株式数の、全発行株式数に占める比率の下限。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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