プーチン大統領、子供を持つ従業員に対しての在宅勤務制度の導入を提言

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2020年03月19日

新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ロシアでも在宅勤務についての議論が高まっている。プーチン大統領は3月17日、新型コロナウイルス感染防止を目的とした学校閉鎖を念頭に、子供を持つ従業員に対して企業は在宅勤務の機会を提供する必要があると指摘した(「タス通信」3月17日)。プーチン大統領は自宅で学習する子供は親との接触が必要だとしたうえで「雇用者に対してこの状況を考慮するよう要請する」と述べ、在宅勤務の環境整備を促した。

在宅勤務は従業員自身の感染防止にも繋がるとみられるが、ロシアにおいての対応状況は企業によって分かれている。オフィス向け各種システム提供「Bitrix24」の調査によると、ロシアで完全な在宅勤務に前向きな企業は42%、従業員の一部への在宅勤務適用に前向きな企業は38%であった一方、全く体制を整えていない企業は20%であった(「実業ペテルブルク」3月16日)。また、ロシアの求人サイト運営「hhルー」の利用企業および求職者向け調査(注)では、従業員の在宅勤務制度を導入している企業の割合は16%に留まっているほか、80%の企業は、従業員の一部は必ず職場にいる必要があると回答している(「イズベスチヤ」紙3月17日)。

在宅勤務の導入をいち早く進めているのはIT企業だ。ロシアのIT大手「ヤンデックス」は、全てのオフィスにおいて、対応可能な従業員に対して在宅勤務の推奨を3月16日から開始(「タス通信」3月13日)。オフィスへの出勤を要する場合でも、公共交通機関の利用を避ける観点から同社の負担によるタクシー通勤を可能としている。そのほか、大手メールサービス「メール・ルー・グループ」、大手SNS運営「フ・コンタクテ」といった企業が条件に応じて従業員の在宅勤務を認めている(「ハーブル」3月12日)。

(注)求人サイトの性質上、オフィスワークだけでなく小売や運送など在宅勤務に馴染まない業種の企業からも回答の可能性がある点に留意。

(一瀬友太)

(ロシア)

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