モロッコで初のコロナウイルス感染者、今後の検疫強化に留意

(モロッコ)

ラバト発

2020年03月12日

モロッコでは、2月2日に中国・武漢から政府手配の特別便で帰国した、167人のモロッコ人からコロナウイルス感染者は確認されなかった(2020年2月14日記事参照)。しかし、イタリア・ベルガモから2月27日に帰国した39歳のモロッコ人男性が3月2日夜、初めての感染者と確認された。感染者はカサブランカの病院に2週間、隔離されている。また、感染者と同じ飛行機に乗っていた104人はモロッコ政府の監視下におかれ、毎日2回の経過観察を受けている。3月5日には、2例目の感染者が報告された。保健省の会見によれば、2月25日にイタリア・ボローニャから帰国した、慢性疾患を持つ89歳のイタリア在住のモロッコ人女性だ。

モロッコ政府は国内での感染を受け、外国人の参加する国際会議や、1,000人以上が集まるイベント、ムッセム(モロッコの伝統的な祭り)を除く祭りを3月末まで禁止すると、3月5日に発表した。発表によれば、スポーツイベントは無観客試合で実施される。また、農業・海洋漁業・地方開発・水資源・森林省は、4月14~19日にメクネスで予定されていた国際農業見本市(SIAM)の中止を発表した。

保健省は2月27日、港や空港において中国をはじめとする感染拡大国からの入国者に対し、検疫を強化すると発表していた。在モロッコ日本大使館によれば、3月3日、カサブランカ空港での入国に当たり、日本からの邦人旅行者団体が、ほかの旅行者とは異なる扱いを受け、別室において検温を求められる事案が起きた。検温の結果、発熱が確認されなければ入国が可能になったとのことだが、今後の感染拡大次第では入国検疫が強化される可能性もあり、注意が必要だ。

ロイヤル・エア・モロッコは、1月31日~2月29日に北京とカサブランカを結ぶ直行便を一時的に運航停止(2020年2月14日記事参照)、3月6日時点でも、同便はいまだ停止しており、同社から運航の再開時期は発表されていない。

また、一部の現地報道では、スロベニア保健省は、同国内初の感染者がイタリア経由でモロッコに旅行に来て帰国した後、発症したと3月4日に発表しており、モロッコで感染した可能性も否定できないとしている。

(大野晃三)

(モロッコ)

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