新型コロナウイルス対策で中国直行便を一時停止

(モロッコ)

ラバト発

2020年02月14日

「青い街」として知られるシェフシャウエンや、サハラ砂漠観光の人気の高まりを受けて近年、モロッコへの中国人観光客が増加し、モロッコ政府も中国人に対する入国ビザ廃止などの誘致の取り組みを行ってきた。モロッコ観光連盟によると、中国からモロッコへの観光客は2019年には15万人に達し、年間50万人を目標としている。航空会社ロイヤル・エア・モロッコは、カサブランカと北京を結ぶ直行便を1月16日に就航した。

しかし、堅調に伸びていた観光業に新型コロナウイルスが影を落としている。同連盟によると、前年に比べて2月は2万8,000人、3月は2万4,000人の中国人観光客の減少が予想されている。ロイヤル・エア・モロッコは「需要の急落」によって1月31日~2月29日まで、北京との直行便を一時的に停止することを決定した。

また、2月2日には中国武漢滞在中のモロッコ人167人が、モハメッド6世国王が指示した同航空の特別便で帰国した。帰国者は到着後、病院で20日間の経過観察を受ける。

衆議院会議でエル・ムスタファ・ラミッド人権・国会関係担当国務相が2月3日、「モロッコでは現時点で新型コロナウイルス感染の症例はない」と述べた上で、国王の指示に従い、保健省や王立憲兵隊、軍部医療機関、内務省などから構成される対策委員会を設置するなど、新型コロナウイルスのリスク回避の予防措置を講じるとした。さらに、モロッコ国内の国際空港では直行便または乗り継ぎ便で中国から到着する全ての搭乗客に対して、赤外線カメラによる監視システムで検査を行うとも述べた。

(大野晃三)

(モロッコ)

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