遼寧省、2020年に重点プロジェクト100件を推進

(中国)

大連発

2020年03月17日

中国遼寧省政府は、中央政府が「第13次五カ年計画」(2016~2020年)で定める小康社会(ややゆとりのある社会)の実現に向け、2020年に100件の重点プロジェクトを推進することを決定した。この重点プロジェクトには、(1)華晨BMWの製品の高度化、(2)瀋陽新松ロボット未来城、(3)恒大集団の新エネルギー車向け部品など50件のプロジェクトの建設・操業の推進、また、(1)北京中関村情報谷(インフォメーションバレー)の瀋陽・中関村イノベーションセンターや(2)深業泰富渾南スマート交通産業パーク、(3)啓迪科技城(Tuscity)グループによる双城双園プロジェクトなどの50件の大型投資プロジェクトの早期実施が含まれる。

瀋陽市と大連市も、それぞれ重点推進分野やプロジェクトを定める。瀋陽市は、デジタル経済、バイオ製薬・医療機器、電子商取引(EC)・物流、観光などの新興産業を育成・発展させ、「在宅経済」「非対面型取引」などの新たな経済モデルを推進する。

デジタル経済の分野では、(1)第5世代移動通信システム(5G)の医療への応用、(2)遠隔医療診断・手術などの拡大、(3)仮想現実(VR)・拡張現実(AR)技術の非接触式体温測定・オンライン商業展示などの分野への応用、(4)執務・教育のオンライン化による在宅経済の発展などを推進する。

バイオ製薬・医療機器の分野では、ヘルスケア産業に注力し、(1)新型コロナウイルスによる肺炎の診断、(2)消毒設備・ワクチンなどの研究開発、(3)先端医療映像設備と健康ロボットなどの開発や生産を支援する。

EC・物流分野では、(1)非対面型のビジネスモデルの推進のほか、(2)中欧鉄道の安定的な運行、(3)瀋陽港多様連合運送センタープロジェクト(瀋陽、営口港の陸海連合運送)の運営開始を目指す。

大連市は、100件の大型プロジェクトの建設を推進する。投資総額は5,500億元(約8兆2,500億円、1元=約15円)で、産業プロジェクトが案件数の7割を占める。第1段階として、石油化学、先端設備製造業、クリーンエネルギー、港湾海上物流、情報技術などに関する産業プロジェクト24件を推進する。代表的なプロジェクトには、恒力集団の年産150万トンのエチレン生産施設、中国第一重型機械集団大連核電石化の設備高度化、および日本電産産業パークがある。大連市商務局の発表によると、日本電産は3月4日、電気自動車(EV)向けモーターの新工場の定礎式を行った。新工場は大連市の新日本工業団地に立地し、投資総額は10億ドル、モーターの年間生産能力は360万台を見込む。2021年に稼働の予定で、同工場の周囲に30社余りの関連企業も呼び込む計画だ。

(李穎)

(中国)

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