新型コロナウイルス、欧州の外食産業にも大きな影響

(ドイツ、英国)

欧州ロシアCIS課

2020年03月12日

新型コロナウイルスの欧州での感染の広がりは、外食産業などに大きな影響を与えている。ドイツのホテル・飲食店業連盟(DEHOGA)は3月6日、新型コロナウイルスの感染拡大が外食、宿泊業に与える影響についてのアンケート調査結果(調査実施日:3月4、5日 回答数9,574社)を発表した。それによると、宿泊業の82.9%、外食業の72.9%がマイナスの影響を受けていると回答した、としている。また回答企業全体の45%が1万~5万ユーロ、10%が5万~10万ユーロの売り上げ減を経験しているという。なお、回答企業の約半数の年商は50万ユーロ未満。このため、40.9%が政府に対して、一時的な資金の融資などの金銭的支援を求めているという。また、個人客の売り上げ減少傾向もみられているが、むしろ現状の売り上げ減は主にビジネス利用のキャンセル・需要の低下に起因するという。

ドイツの卸・貿易業協会(BGA)は3月9日、2019年11月の輸入が前年同月比で1.8%減少したことに触れつつ、新型コロナウイルスの感染の拡大が世界経済を減速させる新たな重荷となるとし、貿易の低迷に懸念を示している。

英国の外食業・宿泊業などの業界団体であるUKホスピタリティのケイト・ニコルズCEOは「inews」紙の取材に応え、ホテルの予約数が15%落ち込んだと述べた(3月5日付)。また外食産業は2段階の影響を受けているとした。まず第1段階の影響は国外からの観光客減少。そして3月に入ってからは、外出控えやビジネス・ミーティングのキャンセルなど英国人の生活スタイルの変化による売り上げ減少が顕著だという。ニコルズCEOは4月1日が四半期分の賃料支払い日にあたることが多く、資金繰りに困窮するレストランも出るとし、支払い遅延などの支援措置を導入すべきとしている。

ジェトロが3月第一週にドイツと英国の日本食を取り扱う事業者に対してヒアリングしたところ、2月の段階では、中華レストランでの客足が遠のくなどの風評被害がみられた一方、日本食レストラン・小売店では影響は軽微であるとした。しかし、今後、客足の低下は避けられないと予測し、売り上げ低下に対する警戒感を強める声が聞かれた。また日本産食品に対する今後の風評被害や規制、物流の混乱を懸念する声も聞かれ、日本からの輸出を行う事業者にも影響が出そうだ。

(福井崇泰)

(ドイツ、英国)

ビジネス短信 5ab64727417ef786