山東省各市が日本や韓国からの入国者に対し厳格化措置を発表

(中国)

青島発

2020年03月02日

中国山東省の青島市は2月24日、煙台市と威海市は2月25日に、入国管理を厳格化する措置を相次いで発表した。上記3市においては、新型コロナウイルスの累計感染者数が微増あるいは新規増加のない一定の状態に落ち着きつつある(図参照)。しかし、広東省などが「重大突発公共衛生事件レベル」を「2級事件」(重大)に引き下げる一方(2020年2月25日記事参照)、山東省の「重大突発公共衛生事件レベル」は2月28日現在、依然として「1級事件」(特に重大)に扱われている(注1)。

図 3市での新型コロナウイルスの累計感染者数の推移

青島市衛生健康委員会は2月24日、新たな新型コロナウイルスの感染拡大防止策を発表した。(1)湖北省などの感染症発生重点地域で滞在歴があり、発熱または呼吸器症状のある者、(2)新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者、(3)発熱症状がある者が利用した交通機関を利用した者、(4)新型コロナウイルスの検査中に発熱または呼吸器症状がみられた者、のうち、いずれかに該当する者に対し、一律で隔離観察または経過観察を実施するとした。

また、青島市は2月24日から、海外からの全ての入国者に対し、隔離や医学的経過観察が必要な場合を除き、自宅までの移動手段を手配し、また、滞在先での活動制限を行うと発表した。青島市内に住居を有する者は、居住する市区が手配する車両で自宅まで移動し、自宅で14日間の隔離観察を行う。出張や旅行など短期滞在者は、政府が指定するホテルに宿泊し、業務活動を行う。

煙台市は2月25日から、空港などで入国者が通過する専用レーンを設け、貨物の消毒や検疫を行う。また、体調に問題がない入国者は、手配された車両で目的地まで移動する。出張や観光を目的とする短期旅行者は、政府が指定するホテルでの滞在が求められる。さらに、煙台市は入国する全員に対し、無料でウイルス検査(核酸検査)を行うとしている(「中国新聞網」2月26日)。

威海市は2月25日から、日本や韓国などから入国する者を含む外国人や中国人に対し、指定するホテルでの集中隔離を実施すると発表した。ホテルは、政府が1人1部屋を用意する。なお、搭乗した飛行機に発熱症状のある者が乗り合わせていない場合、希望者は自宅での隔離および医学観察を行うことができる。さらに、2月10日以降に日本および韓国から入国した者に対して、電話によるヒアリングで健康状態の確認を行い、発熱者および感染者の濃厚接触者に対しては、専門的な処置を行う。

再派遣時期の見直しなど新たな課題に直面

山東省には食品、繊維などの製造業をはじめ1,791社の日系企業が進出している(注2)。今回の措置を発表した青島市、煙台市、威海市にはその8割以上が進出しており、新規の感染者数が減少する中、日本に帰国中の駐在員を抱える企業は、再派遣時期の見直しなど新たな課題への対応を迫られている。

(注1)新型コロナウイルス流行に対する山東省および各地方政府の対応や山東省各市の移動制限など、最新情報は在青島日本総領事館のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

(注2)外務省「海外在留邦人数調査統計」(2018年10月1日時点)。

(田中正義)

(中国)

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