送金受取額ランキングで国別4位、ASEANでは首位

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月03日

世界銀行は、2019年に海外の労働者が自国に送金した受取額の国別ランキングを発表し、フィリピンは世界第4位だった。

世界銀行によると、2019年に在外フィリピン人労働者(OFW)によるフィリピンへの送金額は350億7,100万ドルとなり、前年(338億900万ドル)より3.7%増加した。

世界で最も送金額が大きかった国トップ10は、インド(822億300万ドル)、中国(702億6,600万ドル)、メキシコ(386億5,500万ドル)、フィリピン(350億7,100万ドル)、エジプト(263億5,300万ドル)、ナイジェリア(253億6,800万ドル)、フランス(251億7,400万ドル)、パキスタン(219億500万ドル)、バングラデシュ(175億3,900万ドル)、ドイツ(167億7,200万ドル)となった(表参照)。

ASEAN諸国では、フィリピンが首位で、2位以下はベトナム(166億7,900万ドル、全体11位)、インドネシア(116億7,900万ドル、全体14位)、タイ(70億3,800万ドル、全体26位)、ミャンマー(30億3,500万ドル、全体47位)、マレーシア(17億2,100万ドル、全体69位)、カンボジア(15億1,700万ドル、全体74位)、ラオス(2億5,400万ドル、全体132位)だった。シンガポールとブルネイのデータは発表されなかった。

フィリピンが受け取った送金が、2019年のGDPに占める割合は9.8%となった。世界でGDPに占める割合が大きかった国トップ5は、トンガ(38.5%)、ハイチ(34.3%)、ネパール(29.9%)、タジキスタン(29.7%)キルギス(29.6%)だった。

表 在外労働者が自国に送金した受取額の国別ランキング(2019年)

新型コロナウイルスや中東緊迫化を受け2020年は後退か

中国・武漢市を発生源とする新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、フィリピン政府は武漢市を含む湖北省に居住するフィリピン人のうち、希望者をフィリピンに帰国させるため、2機のチャーター機を2月、湖北省に派遣した。また、1月のイランによる在イラク米軍への報復攻撃を受け、フィリピン政府は多くのフィリピン人が出稼ぎに行っているイラン、イラク、レバノンからの強制帰国命令を発令している。さらに、フィリピン労働雇用省(DOLE)は2019年12月、サウジアラビアで働くフィリピン人労働者に対して総額46億ペソ(約96億6,000万円、1ペソ=約2.1円)に上る給料不払い金額が発生しているとして、サウジアラビアへの労働者派遣人数を削減すると発表した。また、2019年12月にクウェートで発生した雇用主によるフィリピン人家政婦の殺害事件の発生を受けて、フィリピン海外雇用庁(POEA)は2020年1月3日、クウェートへの新規派遣申請を全面却下すると発表するなど、2020年のOFWによるフィリピンへの送金額の減少要因が次々と生じている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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