セルビアで国内初のコロナウイルス感染者

(セルビア)

ウィーン発

2020年03月11日

政府は3月6日、セルビア北部のスボティツァ市で国内初の新型コロナウイルス感染者が確認したと発表した。感染者は43歳の男性で、発熱など新型コロナウイルス感染が疑われる症状が見られる家族が住むハンガリー・ブタペストを複数回訪問し滞在していた。3月9日18時時点(現地時間)、までに、2人目の感染者の確認が発表された。

在セルビア日本国大使館によると、全入国者に対し空港でサーモグラフィ検査のみを課しており、日本人に対する行動制限や健康状態の報告義務はない。アレクサンダル・ブチッチ大統領が、感染者が発生しても病院の受け入れ態勢は出来ているので冷静に行動するように国民に呼びかけていることもあり、マスク不足は発生しているものの、大きな混乱は生じていない。

セルビア国営放送で、ラシム・リャイッチ副首相兼通商・観光・通信相は、観光産業における新型コロナウイルスによる推定被害額の試算はまだ出来ないが、中国人旅行客は1月に前年同月比で約2.5倍と伸びていたが、2月、3月は団体客の60%でキャンセルが発生していると述べた。

また、ゾラナ・ミハイロビッチ副首相兼建設・運輸・インフラ相は、中国と共同で進められている「ミロシュ・べリキ高速道路」や「ブダペスト-ベオグラード高速鉄道」のインフラ・プロジェクトに関して、今後、セルビア側としても協力出来ることは出来る限り行いたいとの意向を表明した。

セルビアの2019年第4四半期の実質GDP成長率は前年同期比6.2%増を記録。今年に入ってから、スイスの製菓メーカー「バリー・カレボー」が菓子製造工場の建設(投資金額:5,000万ユーロ)を開始、またドイツの自動車部品メーカー「ブローゼ」が製造工場や製品開発センターを建設する(投資金額:1億8,000万ユーロ)などセルビア経済の好調を示している。今後、新型コロナウイルスがどの程度の影響を与えるのかが懸念される。

(鈴木秀男)

(セルビア)

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