サンダース氏の人気を支えるヒスパニック系若年層の投票がカギ、スーパーチューズデーの注目州

(米国)

米州課

2020年03月02日

米国大統領選挙の予備選挙が2月3日から始まり、2月29日のサウスカロライナ州の予備選では、48.4%の得票率でジョー・バイデン氏が予備選で初めて勝利を収めた(2020年3月2日記事参照)。3月3日は、最多の代議員数を抱えるカリフォルニア州を含む14の州で民主党予備選が実施される。

民主党大統領候補指名に必要な代議員数は1,991だが、代議員数が多く注目されるカリフォルニア州、テキサス州、ノースカロライナ州における状況をまとめた。

カリフォルニア州:サンダース氏有利の見通し

カリフォルニア州では、ヒスパニック系(有権者の3割)、34歳未満若年層(5割)、および無党派層が投票のカギを握るとされる。このため、若年層に人気が高く、ネバダ州の予備選でヒスパニック系有権者の支持が高かったバーニー・サンダース氏に有利とみられる。CBSニュースのカリフォルニア州の調査(注1)では、予備選で誰に投票するかという問いに対して、サンダース氏が31%とリードしている。2位以下は、バイデン氏(19%)、エリザベス・ウォレン氏(18%)が続く。同調査では、サンダース氏の主な支持層は、45歳未満(45%)、白人(32%)、ヒスパニック系(30%)だ。

テキサス州:サンダース氏の好調さに困惑する中道派

代議員数がカリフォルニア州に次いで2番目に多いテキサス州では、バイデン氏を支持する中道派は、サンダース氏の好調さに困惑している。投票に行かない人も多く、特に有権者の約3割を占めるヒスパニック系の声が選挙結果に反映されてこなかったとも指摘される。

調査会社パブリック・ポリシー・ポーリングの同州の調査(注2)では、バイデン氏、サンダース氏の支持率がともに24%と拮抗(きっこう)している。3位のマイケル・ブルームバーグ氏は17%。ブルームバーグ氏は、スーパーチューズデーから予備選に参戦し、サンダース氏の民主党代表選出を阻止することを公言している。しかし、ブルームバーグ氏を候補者から除いた設問では、バイデン氏31%、サンダース氏25%で、バイデン氏支持の7%分がブルームバーグ氏に回ることが読み取れ、サンダース氏への影響は少ない見込み。

ノースカロライナ州:黒人票の獲得が重要

ノースカロライナ州は、代議員数がスーパーチューズデーでは3番目に多い州だ。直近の同州世論調査の支持率は、バイデン氏(29%)、サンダース氏(25%)の上位2人が並び、ブルームバーグ氏(14%)が3位だ。黒人層の支持率は、バイデン氏が35%とリード(ブルームバーグ氏21%、サンダース氏20%)し、34歳未満の若年層では、サンダース氏が56%とリード(ブルームバーグ氏16%、バイデン氏6%)する(イースト・カロライナ大学:注3)。

サウスカロライナ州と同様に、バイデン氏は黒人票(有権者の2割)を期待するが、左寄りの政策を主張するサンダース氏がより速い改革を求める黒人若年層に訴えることで可能性が広がるという見方もある。

政治サイト270 to Winが発表した各州における代議員数獲得予想では、サンダース氏が各州で代議員を着実に獲得する見通しだ(表参照)。

表 民主党予備選での代議員獲得予想数

各候補者の詳細は、添付資料参照。

(注1)調査の実施時期は2020年2月27~29日、対象者はカリフォルニア州の民主党予備選投票予定者1,411人。

(注2)調査の実施時期は2020年2月24~25日、対象者はテキサス州の民主党予備選投票予定者1,045人。

(注3)調査の実施時期は2020年2月27~28日、対象者はノースカロライナ州の有権者1,288人、うち民主党予備選投票予定者は499人。

(松岡智恵子)

(米国)

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