新型コロナウイルス拡大でティチーノ州に非常事態宣言

(スイス)

ジュネーブ発

2020年03月17日

イタリアと隣接するスイス南部のティチーノ州は3月11日、に非常事態宣言を発した。

在ジュネーブ領事事務所によると、この宣言に基づき命じられた措置は以下のとおり。期限は3月29日まで。

  • 公立、私立共に義務教育施設は開校を継続するが、義務教育以降の教育施設は閉鎖。
  • 遊興の場所を閉鎖(映画館、劇場、ミュージアム、ジムなど)。スキー場も閉鎖。
  • 50名以上のあらゆるイベントを禁止。
  • あらゆるカテゴリーの全てのスポーツイベントを禁止(個人競技は許可)。
  • ホテル及びレストランにつき,一度に(スタッフを含め)50名以上の受け入れを禁止。
  • 一般に開かれている商業活動については、強化された衛生措置を講じ、ヒトとヒトとの間で一定の距離を確保しなければならない。
  • 65歳以上の高齢者は、未成年の世話を控えることを強く推奨。
  • 公共交通機関は維持されるが、強化された衛生措置がなされる。
  • 州警察及び市警察は、かかる措置の遵守状況を監視する。

日本政府は同日、ティチーノ州に対する感染症危険情報を2に引き上げた。既に、スイス全土とリヒテンシュタインに対して3月9日に出されていた危険度情報1が同州に関して引き上げられたことになる。

さらに、3月13日にはスイス政府などによる以下の新たな措置が発表された(在スイス日本大使館ウェブサイトより)。

  • スイス内閣は、100人以上の参加が見込まれる大規模イベントを4月30日まで禁止
  • 全国的に小学校以降の教育機関を4月4日まで閉鎖
  • 飲食店等の収容人数を50人までに制限
  • イタリア国境について、スイス国民、越境通勤者、運輸及び通過交通等を除き入国制限を実施

もう1つの動きは、米国による渡航制限だ。3月11日、米国トランプ大統領からシェンゲン協定加盟国からの入国を30日の間制限するとの発表があり、スイスからもアメリカへの渡航が制限されることになった。

これに対し、3月12日付「ル・トン」紙では、トランプ大統領のコメントとして、EUが感染症対策に失敗したことが米国の感染を招いたことで往来を禁止したことを紹介した。また、米疾病予防管理センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長による、米国の真の脅威となっているのは欧州であり、今や欧州は新たな中国だとする発言を紹介している。

欧州が最も感染が進みつつある地域だということはデータで裏付けられる。3月12日現在の「NZZ」紙報道によれば、人口10万人あたりの新型コロナウイルス感染者数は20.6人で韓国の15.2人を上回っている。ノルウェーの11.3人、デンマークとスイスの7.7人は中国の5.8人すら上回っている。地域別で見ても3月11日の時点でヨーロパの感染者数が1.5万人を超え、中国を除くアジアを上回った。

(和田恭)

(スイス)

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