欧州レベルで廃プラスチック削減と再利用・リサイクルに取り組む官民イニシアチブを立ち上げ

(欧州)

欧州ロシアCIS課

2020年03月19日

欧州レベルで廃プラスチック削減とプラスチックの再利用・リサイクルの促進に取り組む官民イニシアチブ「Europan Plastic Pact」立ち上げのイベントが3月6日、ブリュッセルで行われた。国レベルでの同様なイニシアチブは2019年にフランスとオランダで立ち上げられており、両国とデンマークが中心となって欧州レベルのイニシアチブを立ち上げた。「Europan Plastic Pact」には約90の企業、業界団体、自治体、国の官庁、NGOなどが署名者として名を連ね、以下の4点を目標として、循環的なモデルを確立すべく、議論やグッドプラクティスの共有を行う。

  • 2025年までに上市(市場に投入)される全てのプラスチック包装物・使い捨てプラスチックをリサイクル可能とする(可能な限り再使用可能なものとする)。
  • 2025年までにプラスチック包装物・使い捨てプラスチックに使用されるバージン(新品)プラスチックの量(重量)を最低でも20%削減する。
  • 2025年までに収集・分別・リサイクルの処理能力を少なくとも25%引き上げる。
  • 2025年までにプラスチック製品に利用される再生プラスチックの量(重量)を30%とする。

立ち上げイベントには、欧州委員会のフランス・ティーマーマンス上級副委員長、オランダのスティンチェ・ファン・フェルトホーフェン環境相、フランスのブリュヌ・ポワルソン環境連帯移行担当閣外相も参加。デンマークのレア・ウェルメリン環境相はビデオメッセージを寄せた。

ファン・フェルトホーフェン環境相は、この取り組みはプラスチック産業の将来のためのもので、反プラスチックではないとし、設定された目標は官民の関係者が力を合わせることで達成可能、将来世代への責任として実現せねばならないと述べた。ポワルソン閣外相は、フランスが最近、2040年までに使い捨てプラスチック製品の上市を禁止する循環経済法を制定したことを紹介し、生産と消費の方法を変える必要性を指摘した。ウェルメリン環境相は、プラスチックの3R(リデュース、リユース、リサイクル)推進の重要性と、推進に当たっての産官の協力、国を越えた協力の必要性を強調した。ティーマーマンス上級副委員長は、プラスチックは有用な資源だが、利用方法が良くないために環境に負荷をかけており、循環的な生産・消費のサイクルを確立するようビジネスモデルを変える必要があるとした。また、EUが昨年、一部の使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する指令を8カ月でスピード制定したことはEUがこの問題の重要性を認識していることの証左だと述べた。

イベントでは、参画企業の代表が参加した「パートナーシップ」と「イノベーション」の2つのテーマについてのパネルディスカッションも行われた。

(立川雅和)

(欧州)

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