モスクワに欧州最大級のテーマパーク「ドリーム・アイランド」開園

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年03月09日

モスクワに欧州最大級のテーマパーク「ドリーム・アイランド」が2月29日に開園した。市南部のナガチンスキー地区(最寄り駅は地下鉄テフノパルク)にある「10月革命60周年記念公園」(1977年開園)の跡地に立地。開園日とその翌日の2日間で15万人が来場した。

総面積はサッカー場140個分に当たる約100万平方メートル、本館(約30万平方メートル)は欧州最大の屋内型テーマパーク(約8万平方メートル)とショッピングモール(約22万平方メートル)で構成され、周囲には屋外型景観パーク(44万平方メートル)が広がる。さらに今後、2キロに及ぶモスクワ川のウォーターフロントに映画館(17ホール)とコンサートホール(3,500席)、4つ星ホテル(410室)、子供向けヨットスクール、宴会場(1,500席)などが設けられる予定だ。

開園に先立つ2月27日、モスクワ市のセルゲイ・ソビャニン市長はプーチン大統領とテーマパークを訪問。市長は大統領に「このプロジェクトは、約600ヘクタールに上るジル(注)工場跡地の大規模な改修プロジェクトの一部」と説明した。

テーマパークには9つの童話やアニメをテーマとしたゾーンがあり、27のアトラクションを含む35種以上のエンターテインメント、キャラクターミーティングを提供するほか、レストランやカフェ、土産物、軽食のフードトラックを設置している。欧州最大のガラスドーム内にはロンドン、ローマ、バルセロナ、ビバリーヒルズを模した通りを配置する演出もしている。屋外には、スポーツレクリエーションのためのランニング、サイクリング向けなどの区域や家族が散策できる区域を設けている。

入場者は全アトラクションとショーに無制限に使用可能な「ファースト・パス」チケットを購入する。料金用は時刻と曜日、子供の年齢などで異なり、ハイシーズンのファミリーチケット(10歳以上と以下各2人分)7,400ルーブル(約1万2,000円、1ルーブル=約1.6円)。

テーマパークの建設は2016年に開始。投資家はアミラン・ムツォエフ氏とアリハン・ムツォエフ氏兄弟が所有する「リージョン」グループが実施、モスクワ市の承認を得て15億ドル(うち5億ドルは大手行VTB銀行が出資)を投じ、モスクワの新しい文化的な娯楽施設として、都市環境の質の改善に向け、投資や雇用を生み出す社会的に重要な都市開発プロジェクトの1つとして建設された。他方で、自然環境の破壊や都市景観にふさわしくない外観などから、地元住民や都市開発の専門家、生物学者などから反対意見も出ていた。

年間750万人の入場者と7,500人の雇用創出が見込まれている。近隣には世界遺産で名高いコローメンスコエもあり、モスクワの新しい観光コースとなりそうだ。

(注)リハチョフ記念工場の略。ロシアの高級乗用車、トラック、重機の大手メーカーだったが、2014年に生産を中止した。

(秋塲美恵子)

(ロシア)

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