連邦政府、生活必需品確保や中小企業向け支援の緊急対策を発表

(ロシア)

モスクワ発

2020年03月25日

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、ロシア政府は経済への影響を最小限にとどめようと緊急対策を打ち出した。3月17日に承認した「経済の安定的発展のための行動計画」は、a.生活必需品の確保と市民生活の支援、b.産業分野別支援、c.中小企業支援を柱とする。

生活必需品については、特に食品と医薬品安定供給に力点が置かれる。食品関連では適切なモニタリングにより過度な価格上昇を抑えるほか、輸入手続きの緩和や食品輸送の場合の積載重量規制を時限的に撤廃し、安定的な商品供給を促す。また、医薬品・医療品の安定確保・供給のため、関連製品の輸入関税免除、国内メーカーへの特別融資、輸出制限策の導入などを図る。

産業分野別支援では、貸し付け時の与信の拡大・緩和を金融機関に求めるほか、a.物流・輸送、b.スポーツ・文化・芸術、c.観光、d.不動産、e.自動車リースなど、新型コロナウイルス拡大の影響で業績が悪化している企業・団体向けの金融支援や税金の支払い猶予などの支援策が盛り込まれる。

中小企業対策では、a.税務調査などの執行停止、b.2020年3月から3カ月間の社会保証費用の一部支払い免除、c.優遇金利による融資拡大や返済繰り延べ、d.国有資産賃借料の支払い猶予(2020年3月19日付連邦政府指示第670-r号で規定済み)などを盛り込んだ。

このほか、総合的経済対策としてa.3,000億ルーブル(約4,500億円、1ルーブル=約1.5円)規模の金融支援枠の確保、b.返済繰り延べ時に利用できるに当たっての信用保証機関の創設、c.国家調達契約不履行の際の違約金免除(2020年3月19日付連邦政府指示第672-r号で規定済み)などが盛り込まれた。これらの施策の大半は、3月中(一部規定は4月半ば)をめどに順次政府内で細則が定められる。

3月21日には経済関係閣僚・中銀総裁会議が開催された。会議では、a.実体経済への円滑な資金供給の継続、b.金融機関による中小企業に対する貸し剥がし防止のための5,000億ルーブル(約7,500億円)規模の金融支援プログラムの策定、c.状況を注視しながらの柔軟で機動的な財政出動、金融政策の実施、d.雇用確保の重視、を改めて確認するとともに、中銀、財務省、経済発展省における取り組みの進捗が報告された。

(梅津哲也)

(ロシア)

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