2019年の財政赤字が過去最大に、GDP比で3.55%

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月13日

フィリピン財務省財務局(DOF-BTr)は2月26日、2019年の財政赤字が過去最大の6,602億ペソ(約1兆3,864円、1ペソ=約2.1円)となり、前年の5,583億ペソから18.3%増加したと発表した。GDP比で3.55%となり、政府目標の3.25%や前年の実績値(3.20%)よりも悪化した。基礎的財政収支は2,994億ペソの赤字となり、赤字幅は前年(2,090億ペソの赤字)から43.2%膨らんだ。

2019年の国家予算が3カ月以上遅れて成立し、5月の中間選挙キャンペーン期間中の公共工事が禁止されたものの、年後半からドゥテルテ政権が進める大型インフラ整備計画「ビルド・ビルド・ビルド」を中心としたインフラプロジェクトの予算執行が進み、財政赤字が膨らんだものとみられる。DOF-BTrは、2019年12月単月の歳出が前年同月比57.8%増の4,944億ペソとなり、12月単月での財政赤字が2,511億ペソに上った点が過去最大の財政赤字につながったとし、特に公共事業道路省(DPWH)によるインフラプロジェクトや、社会福祉開発省(DSWD)による社会保護プログラムに関する予算執行が進んだとした。

歳入を徴税当局別にみると、首位は内国歳入庁(BIR)で前年比11.5%増の2兆1,755億ペソとなったが、政府目標には4.2%届かなかった。2位は関税局(BOC)で6.3%増の6,303億ペソとなったが、政府目標を4.7%下回った。3位はDOF-BTrで28.3%増の1,465億ペソとなり、政府目標を98.3%上回った。

2020年に入り、1月12日にはマニラ近郊のタール火山の噴火、1月後半から中国・武漢市を発生源とする新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大により、観光産業を中心にフィリピン経済にも悪影響を及ぼすとみられ、大幅な税収減につながることが懸念されている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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