オーストラリア政府、全ての国を「渡航禁止」に引き上げ

(オーストラリア)

シドニー発

2020年03月18日

オーストラリアのスコット・モリソン首相は3月18日、全ての国に対する渡航情報を「渡航禁止」に引き上げ、海外へ渡航しないよう呼び掛けた。同時に、屋内で行われる100人以上の集会を禁止すること、高齢者介護施設への訪問を制限することなども発表した。

オーストラリア外務貿易省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、現在、海外に滞在しているオーストラリア国民に対して、滞在先で適切な医療サービスにアクセスできるかを検討し、オーストラリアへ帰国する意思がある場合は、早急に帰国するよう呼び掛けている。豪大手カンタス航空は3月17日、国際線の約90%、国内線の約60%を3月末から運休にすると発表し、バージン・オーストラリア航空も3月18日、全ての国際線を2020年6月14日まで運休とすることを発表するなど、航空便の運休・減便なども発生している。なお、3月16日以降、全てのオーストラリア入国者に対して、14日間の自己隔離措置が義務付けられている(2020年3月17日記事参照)。

オーストラリア国内の移動については、国内線の利用による感染リスクは低いとしながらも、必要不可欠なものに限るよう呼びかけるとともに、今後、移動制限措置が必要な地域についても検討していく、としている。

100人以上の屋内集会の禁止措置については、公共交通機関、医療施設、スーパーマーケット、オフィスビル、工場、建設現場など日常活動には適用されない。また、学校の休校措置も現時点で必要はないとしている。ただし、映画館や劇場、レストラン・カフェ、冠婚葬祭など、100人未満の屋内集会については、州・準州政府が具体的な実施規則を検討することとなっている。いずれにおいても、社会的距離の確保や衛生管理に配慮し、人と接するときは1.5メートルの距離をとることや、握手やハグも控えるよう呼び掛けられている。

屋外で開催される500人未満の集会については、1人あたり4平方メートルのスペースの確保および、消毒剤の提供や清掃による衛生管理を行うことが指示されたほか、各州・準州政府が開催可否を判断する可能性があるとした。なお、3月16日以降、500人以上が参加する不要不急の集会は開催が禁止されている。

さらに、国内での感染拡大にともない、感染リスクの高い高齢者などの保護を優先するため、高齢者介護施設のスタッフや訪問者に対して、過去14日間に海外から帰国した人や新型コロナウイルス感染者と接触した人の立ち入りを禁止するほか、訪問回数や訪問時間、訪問場所の制限を設け、入居者が家族と定期的にコミュニケーションをとるための電話・ビデオ通話サービスを提供することなどが示された。

モリソン首相は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、この先少なくとも6カ月は続く可能性があるとした上で、「外出禁止令などの短期的な手段ではなく、持続可能な対応を行っていく必要がある」と述べた。また、食料品・医薬品の大量購入により、一部で暴力的な行動が発生していることに対して、「一時的な流通の遅延はあるものの、国内には十分な在庫がある」として、冷静な対応をとるよう強く求めた。

(住裕美)

(オーストラリア)

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